安倍晋三首相
安倍晋三首相

 大手メディアの調査で、不支持率が支持率を大きく上回った安倍政権。森友問題に関する財務省の文書改ざん問題で、佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問を見た国民が、安倍首相にNOを突きつけた形だ。そんな世論の一方で、政界付近で取材を続ける大マスコミの記者たちは政権をどう見ているのだろうか。テレビや全国紙の政治記者に、匿名を条件に話を聞くと、意外な答えが出た。

■新聞やテレビの政治記者が暴露

 まず、支持率の下落がはなはだしい安倍政権だが、記者のほとんどが「すぐには倒れない」といった趣旨の回答だった(以下、カッコ内に、記者の所属をテレビ局か全国紙かだけ示す)。「証人喚問直前の佐川さんは、前川さん(喜平前文科次官)のように、裏側すべてを暴露する“反乱”を起こすのではと注目されていました。だが、結果は逆。“知らぬ存ぜぬ”を繰り返す姿を見て、安倍政権の恐ろしさを再認識した官僚や関係者は多く、取材を重ねても口を塞ぐ人ばかり。森友問題で倒れる現実味は薄いと感じました」(テレビ局)

 とはいえ、安倍政権が安泰というわけではない。「様子見の人は多い。“すぐに倒れることはないけど、ずっと続くわけではなさそう”と」(全国紙)

 なぜなら、自民党内には“不満”が燻っており、「手厳しい意見を繰り返す石破茂元幹事長は言うに及ばず、首相批判を公の場で行うと決意した若手議員もいるそうです」(全国紙)

 批判に対し、当の安倍首相はどう考えているのか。「何を言われようと、今年9月に行われる自民党総裁選での3選こそがすべて」(全国紙)との信念に揺らぎはない。そのため、「モリカケの“消火活動”はもちろん、対抗馬への牽制球や陣営弱体化に必死。特に、最大対抗馬の石破さんだけは何がなんでも退けたい。石破さんが首相になれば、国民支持を確かなものにするために、モリカケの徹底解明をすると想定されますからね」(前同)

■北朝鮮問題をカンフル剤に

 そこで、支持率や党内求心力が今以上に低下した場合の切り札が外交という。「安倍総理にとって、困ったときのカンフル剤が北朝鮮問題。モリカケ問題がありながら支持率が30~40%あるのは異常です。その心理背景には、半島情勢での不安がある。安倍総理はそこを利用すべく、北との外交で先を行く米中韓に追いつこうと必死なようですが、北朝鮮側には、日本に会うメリットはない。そこで、大きな見返りを求めているとの話もあり、焦る安倍総理が応じるとの話も」(テレビ局)

 それでも支持率が回復しなければ、岸田文雄政調会長への禅譲が浮上する。「大チャンスとばかりに、河野太郎や小泉進次郎を担ごうとする動きが出て、石破さんの目が強くなる」(テレビ局)からだ。「総理にとって、石破さんだけは避けたい。岸田さんとしても、宏池会単独で総裁になる厳しさは分かっている。そこで石破派と会食するなど、近づくことで、自分の価値を釣り上げようとしています」(前同)

 だが、あまりに不安定な状況だけに見通しも暗く、「支持率不十分で改憲に失敗し、さらに焦って米朝にカモにされる可能性も否めない。未来には暗雲が垂れ込めてますよ」(全国紙)

 官邸周辺で取材を続ける政治記者たちの観測を、安倍首相はどう見るのか?

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