日の丸自衛隊「知られざる真実」

 命がけで任務に当たったからこそ、隠さなければならなかった。問題を抱える我が国の安全保障の矛盾――。

 安倍政権を揺るがしている3つの問題がある。森友問題、加計学園問題、そして自衛隊の日報問題だ。いずれも、官僚による隠蔽が問題視されており、政府がその監督責任を問われるのは当然である。しかし、自衛隊の日報問題は「森友問題など屁でもない国家の根幹に関わる重大事」(政界関係者)だと言うのだ。「自衛隊は軍隊ではないということになっていますが、そう考えているのは日本人だけで、世界の人々は“日本軍”だと思っていますし、軍隊として扱うはずです。軍隊であって軍隊ではない……自衛隊は絶えず、このジレンマに悩まされ続けているんです。もし日報を意図的に隠していたのだとしたら、PKO派遣地域で、“戦闘に準じる行為”があったからかもしれません。止むに止まれず、現地に派遣された自衛官がこうした行為を任務として遂行した場合、日報を開示してしまえば政権が吹っ飛ぶ話になってしまいますからね」(自衛隊幹部OB)

■稲田朋美防衛大臣は罪をなすりつけようとした

 ここでまず、「日報問題」について整理しよう。今問題になっている「イラク派遣日報」の騒動の発端は、昨年2月、稲田朋美防衛相(当時)が「(自衛隊がPKO活動として2003~09年にイラクに派遣された際の)日報は見つからなかった」と、国会で答弁していたことだった。ところが今年4月2日、小野寺五典防衛相は陸上自衛隊の日報延べ376日分、約1万4000ページが見つかったと発表したのだ。この日報が昨年3月に見つかっていたことが分かったため、日報の隠蔽や改ざんの疑いが出たのだが、さらにここで、航空自衛隊の日報まで、実際は存在していたことが発覚する。

 これが報じられると稲田氏は、「怒りを禁じえない」と、“私も騙された被害者”と言わんばかりのコメントを出したが、そのことが制服組と呼ばれる自衛隊幹部の怒りを呼んだ。というのも、国会で日報の有無が問題になった際に「見つからなかった」と答弁した稲田氏だが、「稲田元防衛相の探索の指示が非常に曖昧で、小野寺防衛相が4月10日に不適切だったことを認めたほどだった」(防衛相関係者)からだ。「つまり、稲田氏は自衛隊に、すべての罪をなすりつけようとした」(前同)

■財務省の公文書改ざんとは同列に扱えない

 そもそも、このイラクの日報問題は、12年から行われている南スーダンにおけるPKO活動が「戦闘地域での活動なのではないか」という声が国会で上がり、そこから飛び火したもの。その南スーダンのPKOでは、当時の稲田防衛相が日報に関して、いったん「不在」としたものの後日、存在が発覚。今年4月7日に小野寺防衛相が改めて調べ直した結果、新たに別の日報も見つかったのだ。「そこには、南スーダンの首都ジュバで政府軍と反政府勢力が激しく衝突する様子が記されていたんです」(全国紙記者)

 確かに、これでは、自衛隊が戦闘行為を行っている事実を隠すために「不開示」にしたと批判されてもおかしくはない。しかし、財務省の隠蔽・改ざんとは、その意味が違う。国際政治ジャーナリストの山村明義氏が次のように語る。「どの軍隊でも必ず日報は残しています。というのも、その日の状況を日報に克明に記録することで、次の作戦に生かせるからです。つまり、日報というのはある意味、軍事機密。軍隊の活動を公表するような国は1か国たりともありません。したがって、財務省の公文書改ざんとは同列に扱えない問題なんです」

 つまり、自衛隊の隊員たちは命懸けで仕事をしていながら、いや、命懸けだからこそ、その任務を隠さなければいけないのだ。もっと言えば、隠しているからこそ、自分たちの作戦の幅を狭めているとも言える。

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