好きな人を応援したい。それは相手がバンドマンでもホストでも同じだ。満員の武道館で歌わせてあげたい。店で「ラッソン※」を歌わせてあげたい。(※その日の売上ナンバーワンホストが営業の締めに歌う)

 そのためには、お金と時間が必要だ。どれだけ気持ちがあってもYouTubeで聴いているだけでは意味がない。店で指名して高価なボトルを入れなければ応援にならない。

 ただ、バンドのLIVEはたとえあなたが行けなくても、予定通り行われる。CDを買うだけでも応援だ。だがホストの場合、来いと言われたら、借金してでも、這ってでも行かないと応援しているとみなされない。誕生日にスタンド花を贈ったりシャンパンをおろしたりできなければ、恥をかかせることにもなるだろう。

 そんな世界で売上げナンバーワンを叩き出す男は、どれほど人の痛みに鈍感でいられるのだろうか。

 加藤シゲアキさんの最新刊『チュベローズで待ってる』(扶桑社)は、就活に失敗した若者がホストでトップに上りつめるまでと、それを踏み台にしてゲーム業界でのし上がっていく様を描いた小説だ。

 ジャニーズ事務所に所属する彼がNEWSのメンバーとしてステージに立つなら、武道館どころか、さいたまスーパーアリーナである。だが、小説に対する歓声は、もっとあっていいはずだ。とても売れてはいるが、こんなもんじゃないだろう。

 断っておくが、私はビジュアル系にしか恋心を抱けない残念な女だ。メイクを取ったら眉毛が麻呂でも、厚底を脱いだら思ったより小柄でも、かっこいい。ビジュアル系バンドマンであることが、“かっこいい”の最低条件なのだ。

 つまり、私が加藤シゲアキの小説を応援しているのは、かっこいいからではない。それを分かってほしくて、自分の偏った男性の趣味を正直に語った。恥ずかしいなコノヤロー!

 書店員としての私の本気、お分かりいただけただろうか。

『チュベローズで待ってる AGE22』(扶桑社)

『チュベローズで待ってる AGE32』(扶桑社)

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