■『日本魚類館』でハゼ科チチブ属の項を執筆

 自身の健康も、国民と苦楽をともにし、国民の平和を願うため――この30年、平和の祈りを捧げ続けてきた陛下だが、同時に、個人としては「魚類の研究」に取り組んできた。しかも、新種のアケボノハゼなど、これまでに8種を発見。これまで学会誌に論文をいくつも発見しているが、さらに3月20日に発売された『日本魚類館』(小学館)では、ハゼ科チチブ属の項を執筆。そして、この本は「6900円もする図鑑としては異例ながら、わずか2週間で重版の売れ行き」(取次関係者)。

 陛下の研究心は会見でも表れたことがあり、絶滅したと思われていた幻の魚クニマスが10年に再発見されたことを受け、会見でこう語っている。「このたびのクニマス発見に東京海洋大学客員准教授のさかなクンはじめ、多くの人が関わり、協力したことをうれしく思います」

 さかなクンとは、あの“ギョ、ギョ!”でおなじみのタレント兼魚類学者だ。陛下は日本魚類学会の会員で、さかなクンとは学会で席を並べる関係だという。多忙を極める中で進めてきた魚類研究。退位後は、興味のあることに専念できる環境が整うのだろうか。「天皇陛下の即位後の外国訪問は20回。訪問先は36か国に及びます。即位から15年間での移動距離は実に12万キロ。地球3周分に相当します。昨年11月の鹿児島ご訪問では3日間で、およそ3200キロも移動していました」(前出の全国紙記者)

■アメリカのトランプ大統領と会ったことは意義深い

 その陛下の平和への旅も、いよいよ終わりを迎えようとしている――。その旅の終わりに「天皇陛下が米国トランプ大統領と会ったことは意義深い」と話すのは、前出の宮内庁関係者である。北朝鮮情勢での対話を醸し出す一方で、4月13日にはシリア空爆という強硬手段に踏み切ったトランプ政権。去年11月に大統領として初来日したトランプ夫妻と面談した陛下は、「両国にはかつて戦争をした歴史がありますが、その後の日米の友好関係、米国からの支援により、今日の日本の姿があるのだと思います」と語った。「陛下は、かつて戦争状態にあった国同士でも、こんなにも分かり合えると、トランプ大統領に伝えたかったのではないでしょうか」(前出の関係者)

 こうして平和を希求する陛下の“祈り”は、皇太子殿下に引き継がれるのだろう。昨年、57歳の誕生日を前にした皇太子殿下はやはり、後奈良天皇が飢饉や疫病の流行に苦しむ人々のために写経した歴史に触れ、「国民のために祈る」と述べているからだ。平和を求め続けた、この30年。その思いは、永遠に国民とともにある。

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