■伊良部秀輝に思わず

 同じく、打者の目線で見た「絶対に打てない!」と思わせた超プロ野球級投手は、誰が出てくるのか。身長194センチの長身から“デカ”の愛称で親しまれ、オリックス、ヤクルトで活躍した高橋智氏が打てないと思った投手は、あの剛腕だった。「どうやっても打てないと思ったのが伊良部(秀輝)君でしたね。千葉マリンのときに対戦して、ファール、ファール、フォークで三振でした。ベンチに戻るときに思わず笑ってしまいましたし、ベンチでもコーチたちが“あれは仕方ない”と言うほどでしたから」

 当時、日本最速の158キロをマークしたこともある伊良部。現在は、大谷の165キロが日本球界最速となっているが、高橋氏はこう話す。「個人的な意見ですが、今のボールは昔より軽くなっているんですよ。伊良部君が今のボールで投げていたら、165キロくらい出たんじゃないかな」

■上原浩治には打席でパニくった

 横浜の4番に座ったこともある古木克明氏は、今季から日本球界に復帰する、あの投手の名前を挙げる。「打席でパニくったのは、上原(浩治)さんですね。ストレートのキレも良いし、フォークも何種類あるんですかって感じでしたよ。ボールかと思って見逃がしたら、ストライクでしたからね。実際のデータでは結構打っていたんですけど、打席ではまったく余裕がありませんでした。あと、すごかったのが新垣渚のスライダー。暴投が多かったのは、キャッチャーが捕れないからですよ。あのスライダーは本当に消えましたね」

 2007年に記録した25暴投は歴代最高記録になっているが、それはスライダーがキレすぎたせいかもしれない。

■松坂大輔のオーラは北斗の拳か、ドラゴンボール

 その新垣と同学年で、世代の代表だったのが松坂大輔。00年、オリックスに入団した高見澤考史氏は、その松坂からプロ入り初ヒットを放った選手だ。「その1打席しか対戦したことがないんですけど、とにかくオーラがすごかった。北斗の拳か、ドラゴンボールみたいなオーラが漂っているんですよ。あんな選手は他にいませんでした。ボールが大きくなるような錯覚がするストレートと、直角に落ちるスライダーを見て、“格が違う”と感じました」(高見澤氏)

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