本当は、どっちが強かったのか!? 夢や想いを語り始めると、いつまでも話は尽きません。プロレスなら、ジャイアント馬場さんとアントニオ猪木さんは、どっちが強かったのか? プロ野球でいうと、長嶋茂雄さんと王貞治さんは、どっちがすごいバッターだったのか!?

■ウオッカとダイワスカーレット、どちらが強かったのか?

 競馬ファンも、酒の肴に自分が思う最強馬について話しだしたら、とても一晩じゃ話しきれないという人が、たくさんいそうです。中でも、今なお競馬ファンの間で、意見が真っ二つに割れるのが、――ウオッカとダイワスカーレット、本当はどっちが強かったのか!? という、最強牝馬論争ではないでしょうか。

 同じ2004年生まれの2頭、ウオッカの生涯成績は26戦10勝。獲得賞金は13億48万6000円。獲得したG1タイトルは7つ。年度代表馬に2度選ばれ、顕彰馬にもなっています。一方のダイワスカーレットは、生涯成績12戦8勝。獲得賞金7億8668万5000円。獲得したG1タイトルは4つ。年度代表馬にはなれませんでしたが、2頭の直接対決は、3勝2敗でダイワスカーレットが勝っています。

 騎手という立場からいうと、枠順や天気、レース展開によって結果は違ってくるものですから、比べること自体には何の意味もありません。……それでも、数字では表すことのできない2頭の走りを、その目で見たという人たちの、語らずにはいられないという気持ちも分かるような気がします。

 とにかくたくさんのファンに愛されたウオッカ……僕が彼女と初めてコンビを組んだのは、08年春のドバイDF(4着)でした。この前年、牝馬としては3頭目、64年ぶりとなる日本ダービーを勝った、あのウオッカに乗れる……角居先生から騎乗依頼をいただいたときの興奮は、今でもはっきりと覚えています。

 そして、帰国第1戦の舞台となったのが、今週末、東京競馬場で行われるG1第3回「ヴィクトリアマイル」でした。最大のライバル、ダイワスカーレットのいないレース(ケガのため春シーズンを全休)は、単勝2・1倍の圧倒的な1番人気。任せてくれたチームウオッカのためにも、応援してくれるファンのためにも、僕個人としても勝ちたいレースでしたが、伸びを欠き2着。

――この借りは必ず返す。強い心で挑んだのが翌年のヴィクトリアマイルです。結果は7馬身差の圧勝。「正直、ここでは負けてほしくなかった」という気持ちと同時に、「やっぱり、ウオッカは強い!」 改めて彼女の強さを実感したレースでした。

■G1ヴィクトリアマイル、リスグラシューでVを!

 今年、このレースでコンビを組むのは、昨年の牝馬三冠戦をともに戦ったリスグラシューです。ウオッカ以来、2度目のVへ。1年8か月ぶりの騎乗停止処分で、うずうずしている僕の気合乗りもマックスです。

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