この降格人事は妥当だろう。高校通算111本塁打の大物ルーキー清宮幸太郎(北海道日本ハム)がセ・パ交流戦前の5月28日、2軍落ちした。ここまで21試合に出場して打率1割7分9厘、1本塁打、2打点。この打撃成績では文句は言えまい。デビューから7試合連続ヒットをマークしたあたりまでは非凡さを見せつけたが、そこからパタリと快音が止んだ。本人が認めているように「真っすぐに振り負ける」シーンが目立った。

■ドラフトで日本ハムが1位指名した直後に

 実は清宮が抱えている問題をイチ早く指摘した評論家がいた。通算206勝、193セーブのレジェンド江夏豊だ。昨秋のドラフトで日本ハムが清宮を1位で指名し、当たりクジを引き当てた直後のことだ。レジェンドに清宮について聞くと、こんな答えが返ってきた。「惚れ惚れするような体をしているし、飛ばす能力も素晴らしい。あれなら111本もの高校通算ホームランも納得するよ」

 こう褒めた後で、「でもなぁ……」と首をひねり、こんな疑問を口にしたのだ。「ミスショットが多いのが気になる。仕留めなければならないボールをファウルにしているんだ。要するに一振りで仕留め切れない。それはスイングに問題があるのか、あるいはボールを見る力(選球眼)に問題があるのか。いずれにしてもプロは弱点を見逃してはくれないから、1年目は相当厳しいと思うよ」

 清宮は巨漢の割には器用な打者との印象がある。リストワークが柔らかいため、ヒットゾーンも広い。しかし、それが災いしてダボハゼのように、何でもくらいついてしまうところがある。江夏の言う「一振りで仕留め切れない」理由は、そんなところにもあるような気がする。

 もっとも、清宮の尊敬する通算868本塁打の王貞治も、1年目は7本塁打、打率1割6分1厘と凡庸な成績で終わっている。ミスショットが少なくなったのは、精密機械のような選球眼を身に付けてからだ。「世界の王」だってホームランを30本台に乗せるまでには4年かかっている。

あわせて読む:
・巨人人気にかげり!? 「好きなプロ野球チーム」ランキング第1位は?