『ブラックペアン』、“水戸黄門的ラスト”を捨てた「勇気」の画像
『ブラックペアン』、“水戸黄門的ラスト”を捨てた「勇気」の画像

 日曜劇場『ブラックペアン』(TBS系)の視聴率が好調だ。先日の第7話の放送では平均視聴率13%以上(ビデオリサーチ調べ/関東地区)だった。放送前から、渡海を演じる二宮和也(34)など豪華キャストが話題となっており、高視聴率をキープしている。それだけ熱心なファンが多いのだろう。しかし、ここにきてドラマが大きく方向転換したことに、皆さんはお気づきだろうか?

 まずは前回、6月3日の放送を振り返ってみよう。渡海は母親の手術後、東城大学を捨てて帝華大学に移ることを告げる。そして、東城大学では、治験コーディネーターの木下(加藤綾子/33)と因縁のある女性患者、山本(相武紗季/32)が、国産医療ロボット“カエサル”の治験患者に選ばれようとしていた。しかし東城大学の病院内ではこの治験をめぐり、あらゆる思惑が錯綜する。

 その頃、渡海は帝華大学でも天才的なオペを見せつけ、帝都大学のパソコンに隠されたある秘密を探ろうとしていた。そして東城大学は、いよいよ山本の手術を迎えるが、命に関わるトラブルが起こり……という展開だった。

 そして渡海がつかんだ秘密によって、帝華大学の西崎(市川猿之助/42)と東城大学の守屋病院長(志垣太郎/66)との裏のつながりが暴かれる。今回も渡海の活躍が際立ったのだが、この放送回にはこれまでとまったく違っていた点がある。

 それはラストシーンの演出だ。これまでは手術の失敗が起こり、その窮地を渡海が天才的な力で手術を見事に回避、という流れだったが、今回は、渡海の熱い想いとインテリジェンスが、患者情報のリークという罪を、白日の元にさらした。主演の二宮和也が颯爽と登場して話を結ぶという“水戸黄門的”な展開はこれまで通りだが、これまでのパターンだった手術シーンに頼らなかったという点を評価したい。

 これまでSNSには「ニノの手術シーンカッコいい」など、迫力ある手術シーンへの賞賛が相次いでいたが、正直、演技力に定評のある二宮や佐伯役の内野聖陽(49)らの、人間同士のやりとりが少ないのは、もったいないとも感じていた。しかし、ドラマの放送も残り数回になり、ここへきて人間ドラマに徹したラストを見せたのはお見事。手術シーンという伝家の宝刀をいったんしまい、このドラマがただの医療ドラマではなく、重厚な人間ドラマであることを、あらためて視聴者に伝えることに成功したのではないだろうか。

 次回以降は、“東城大学VS帝華大学”の最終決戦を迎える。ここでも当然、手術の場面やこだわりの医療シーンが多用されるだろうが、今後『ブラックペアン』の注目は“人VS人”だ。大学同士の対決の裏でぶつかりあう、佐伯や西崎、そして渡海ら、男たちの人間ドラマから目が離せなくなるだろう。(半澤則吉)

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