安倍晋三
安倍晋三

 トランプと金正恩が交わしたのは、固い握手だけではなかった! 我が国の将来を脅かす“裏取引”に迫る!

「日韓両国には北朝鮮を支援する用意があり、アメリカが支援する必要はない」 日本国民も固唾をのんで見守った、6月12日の米朝首脳会談。歴史的瞬間に沸いたのも束の間、記者会見でトランプ米大統領が発したこのひと言で、祝賀ムードは一転した。発言の真意やいかに――。『コリア・レポート』編集長の辺真一氏は、こう語る。「言わんとしているのは、拉致問題について安倍晋三首相のメッセージを金正恩委員長に伝えた、あとは日朝首脳会談を一日も早く開いて、この問題を解決し、しかるべき支援をしてくれ――ということ。拉致問題が足かせになり、せっかく自分がまとめた包括合意が進展しないと困るからです」

 実は、米朝首脳会談の前からトランプ大統領は「アメリカは北朝鮮から6000マイルも離れている」と語り、ポンペオ国務長官も「アメリカ人の税金で北朝鮮を支援することはできない」と明言していた。口は出すけど金は出さないのがトランプ流。北朝鮮と話して核の脅威を取り除いてやるから、あとは日韓で、非核化や南北統一にかかるコストを負担しろ――というのが本音のようだ。

 さて、問題はいくらかかるかだ。「イギリスのヘッジファンドは、旧東西ドイツ統合を参考に、北朝鮮の完全な非核化や南北統一にかかる費用を10年間で2兆ドル(約216兆円)と試算しています。日韓両国で均等に負担したとしても1国あたり108兆円の負担。経済力からいって、日本が韓国以上の負担を求められるのは確実です」(全国紙国際部記者)

 今年度の我が国の一般会計予算はおよそ97兆円。つまり日本は、国家予算を上回る巨額請求書を突きつけられたも同然なのだ。「それだけではありません。北朝鮮の経済立て直しのための援助も求められます」

 こう危惧するのは、韓国政府にパイプを持つ民間団体関係者。「韓国の文在寅大統領は、釜山から北朝鮮の元山、さらに、その先のロシアまで、朝鮮半島沿岸部を縦断する産業ベルト地帯の構想を温めています。文政権は南北和平によって、もう一度“漢江の奇跡”を成し遂げようとしているんです。日本は北朝鮮援助の名目で、その計画の資金をぶん捕られる恐れがあります」(前同)

 もちろん、南北両国のインフラ整備や公共事業ともなると、日本企業がその恩恵に預かり、一部がリターンされる可能性もある。ところが――だ。「金委員長が中国の大連を電撃訪問した2回目の中朝首脳会談の際、金委員長は、中国の習近平国家主席に、具体的な経済協力を要請しました。それを受けて、中国企業は早々と受注を狙っています。日本は今回の米朝交渉と同じく、経済面でも蚊帳の外に置かれることになるでしょう」(同)

 一方、種類によっては中国の10倍以上の埋蔵量を誇るレアメタルが、狭い北朝鮮の地下に眠っている。特に建材などに用いられるマグネサイトの埋蔵量は世界一、亜鉛もアジア3位の埋蔵量を誇る。国際問題ジャーナリストの山村明義氏がこう続ける。「中国だけではありません。ロシアのプーチン大統領も近く金正恩委員長と会談し、軍事転用可能なレアメタルを狙っています。アメリカも、北朝鮮が建設しているカジノリゾート(元山葛麻海岸観光地区)に興味を示しています。すでに関係国の間で、誰が早く北朝鮮の利権を手にするか、その争奪戦はすでに始まっているわけです。日本だけが出遅れていると言わざるをえません」

 日本に金だけ出させたあげく、おいしいところはすべて米中露が持って行くというシナリオが、すでにでき上がっているというのだ。

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