■在日米軍と自衛隊の重要性も増し、防衛費の負担増

 加えて懸念されるのが、我が国の防衛費の負担増だ。トランプ大統領は「米韓軍事演習は(北朝鮮に対して)挑発的であり、北朝鮮との包括的で完全な合意に向けて交渉が続いている状況下では不適切。中止する」と言明。在韓米軍についても、「(駐留兵士を)家に帰還させてあげたい」として、在韓米軍そのものの削減を示唆している。「在韓米軍には中国への睨みをきかせる意味もあり、その縮小は極東アジアの軍事バランスを崩すことにつながります。一方で在日米軍と自衛隊の重要性が増し、日本としても現在のように年間5兆円程度の防衛予算では対応できなくなります」(防衛省関係者)

 仮に年間1兆円の防衛予算増で計算しても、10年で10兆円。北朝鮮の非核化が10年で実現したとして、その間、“非核化コスト・賠償金・防衛予算増”で累計25~30兆円もの負担増に耐えなくてはならないのだ。「それもありますが、最大の懸念は、過去の悪夢を繰り返すことにあります。韓国には戦後、賠償とは別にODA(政府開発援助)や民間企業支援を含めると、40兆~50兆円の援助を実施してきています。今度は北朝鮮を舞台に、それが繰り返されないとは限りません」(山村氏)

 韓国が“漢江の奇跡”と呼ばれる経済復興を成し遂げたのは、この日本からの援助があればこそ。しかも、97年のアジア通貨危機によって韓国経済が崩壊した際、日本はIMF(国際通貨基金)の監督下に置かれた韓国のため、100億ドルを支援した。「韓国が何かというと従軍慰安婦問題などを持ち出してきたことをまね、今度は北朝鮮が日本に難癖つけてくる恐れもあります。これまでのように言い値で出していたら、国民負担はいくらになるか分かりません。今のうちに、きちんとルールを決めておく必要があるでしょう」(前同)

 北朝鮮にも韓国と同じく50兆円の援助を行うとなると、累計約80兆円。やはり、どんどん国家予算の額に近づいていく。「このままでは、アメリカ、韓国、北朝鮮に財布として日本がカモにされるのは明白。9月の自民党総裁選で3選を狙う安倍総理は、外交上の成果を挙げたいため、日朝会談の実現に躍起です。北朝鮮からも金委員長が会談に前向きだという情報が伝わってきています。ただ、相手の言い値で巨額請求を飲めば、日本の将来を揺るがしかねません」(前出の国際部記者)

 核の脅威と引き換えに奪われる日本マネー。その出所が我々の税金であることを、安倍首相には肝に銘じてもらいたい。

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