■国と人々の安寧のために祈る

 両陛下は、風評被害の対処にも尽力してこられた。「2015年、強い雨が降る中、両陛下は福島県桑折町の桃農家を訪問。説明に熱心に耳を傾け、“風評被害がまだ続いていて大変ですね”と、言葉をかけられました。今年の訪問でも、両陛下は漁港でカレイとホッキ貝を買い、福島県産の食材での昼食をとられたそうです」(前同)

 実は6月11日の朝、皇后陛下が発熱。しかも、天候も雨ということで、一部の行事には天皇陛下がお一人で臨まれる、という見方もあった。「しかし、皇后さまは予定通り、相馬市の津波被害者の慰霊塔を訪問されました。38度の熱があったそうですが、白菊の花束を捧げて深々と頭を下げられる姿に、強いお気持ちを感じました」(同)

 天皇とは、はるか昔から国と人々の安寧のため祈る存在だった。「天災があると、天皇は強い責任を感じてきました。奈良時代、地震や疫病が続いたときに、聖武天皇は“自分の不徳のいたすところ”と詫びる詔勅を発しています。一方、江戸時代の天明の飢饉の際には、民衆が天皇のいる京都御所を大勢で参拝する“千度参り”という現象が起こりました。これは、国民もまた天皇が国の平穏を祈り続けてきたことを知っていたからでしょう」(前出の河合氏)

 今回、現在も440人の避難者が生活する、いわき市の災害公営住宅「北好間団地」を訪れた天皇、皇后両陛下――。熱心に話を聞き、予定時間をオーバーして懇親会を終えた天皇陛下は、席から立ち上がると、最後に笑顔で、住民全員にこう言葉をかけられた。「どうぞ、これから、よい生活が送れるよう願っています。どうぞ、お元気で」

 天皇、皇后両陛下から伝えられた“福島への想い”。これこそが今、日本人が大切にするべきものではないだろうか。

あわせて読む:
・退位まで1年、天皇陛下「激動の30年」
・『鉄腕ダッシュ』、長瀬智也の新企画告知に「視聴者大爆笑」のワケ
・有吉弘行も感動の涙!? 『ダレトク』田舎企画に大反響!

  1. 1
  2. 2