■形成外科医には婚約者が!?

 そうして何度かのチャレンジの末、会うことになったのは29歳の形成外科医、Aさん。写真よりも実物のほうがかわいらしい土屋太鳳似で、ビギナーズラックに思わずガッツポーズ。お昼に待ち合わせし、どの店にも入れずランチ難民になっても、「私、散歩が好きだから」とフォローしてくれたり、記者が自分の話ばかりしていても、「お仕事の話、面白い!」と笑ってくれる。「私を笑わせる男なんて、なかなかいないよ?」など、ときおり出る女王様目線は多少気になるが、帰宅後には論文のような1000字以上はあろうメッセージをLINEで送ってくれ、以来、毎日欠かさずやりとりし、こりゃあもう決まりだろうと浮かれていたのだが、なかなか会えないのだ。

 週末夜や土・日はNG、やっと1か月後の平日昼間に数時間、会うことができた。さすが多忙な女医だが、釣れそうな魚にじらされた記者は焦っていたのだ。「こんなに会えないなんて、おかしくない? 女医の仕事って、そんなに忙しい?」

 まるで「仕事とあたし、どっちが大事!?」状態である。結果、その日のデート後、仲介人を通して「NG」の返事。さらに衝撃の事実も判明する。「彼女、実は婚約者がいたんです。結婚に踏ん切りがつかない人が保険をかけるためや、新たな刺激を求めて相談所に登録するのはよくあること。だから、落ち込まないでくださいね」(結婚相談サイト仲介人)

 記者が地雷を踏んでしまったのである。前出の婚活アドバイザーにも、「店は予約しておくこと。女医はストレスフルな仕事なのだから、自分の話ばかりせず、相手の話を熱心に聞くこと」という反省点を聞いた。

 気を取り直し、次にマッチングしたのは婦人科医のBさん、34歳。筋肉質なボディがスタイルの良さを強調する、全盛期の松下由樹似だ。ホテルのランチコースを予約し、スマートさをアピールするが、彼女にはあまり響いていなそうだ。「私、自分の時間が欲しいタイプなんだ。私のことに口出ししてほしくないし、喧嘩をしたら絶対に譲ってほしい」

 相当ストレスが溜まっているのだろうか、歯に口紅をつけたまま、よく話す。そして途中で気づいたが、婚活デートだというのに、彼女はボロボロのスニーカーで来ているではないか。それでも記者は、菩薩のようなほほ笑みを絶やさず話を聞いた。

 そうした対応が気に入られたのか、翌週、翌々週と、毎週デートを重ねるに至ったある日のこと、2人で電車で移動時、席に座っていたときだった。目の前にお腹の大きな女性が立ったのだ。男なら誰しも、「肥満女性か、それとも妊婦か」と一瞬悩むだろうが、彼女は即、座席を譲った。そして下車時、こちらにキツい目を向けて言ったのだ。「妊婦に席を譲らないなんて、信じられない。今日はもう、あなたといる気分じゃない」

 一方的に言い去って行き、翌日には仲介人を通じて「NO」の返事……。記者の言い分を一切聞かず、己の正義を貫いていった彼女との結婚生活は難しいだろうと自分を慰めつつ、もっと穏やかな女医を求め始めていた。

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