西田敏行局長も感動!「探偵!ナイトスクープ」関西のお化け番組、神回はこれだ!の画像
西田敏行局長も感動!「探偵!ナイトスクープ」関西のお化け番組、神回はこれだ!の画像

 3月5日で放送開始30年を迎えた関西のお化け番組『探偵!ナイトスクープ』(朝日放送)。今や関西だけでなく、日本中で愛されている国民的番組だ。先には、番組でも「30周年記念! 視聴者が選ぶオールタイムベスト10」が放送されたが、今回、本誌も独自に神回を選出。元探偵、依頼者、大ファンの業界人が選んだ、主観溢れる珠玉の5本を紹介したい!

 視聴者から寄せられた、あらゆる依頼の元に探偵が赴き調査、検証を行うスタイルを貫いて30年。「基本フォーマットは番組開始以来変わっていないのに、マンネリにならないところが番組の魅力」と絶賛するのは、映画『モテキ』などの監督で、来年放送開始のNHK大河ドラマ『いだてん』の演出に名を連ねる映像ディレクターの大根仁氏だ。大根氏は同番組の大ファン。「番組との出合いは、昔、仕事で大阪に行った際、宿泊先のホテルのテレビで見たこと。東京のバラエティ番組にはないユルさの中に、とんでもないスタッフの労力と、行き当たりばったりの偶発性が絶妙に混じり合っていて、一瞬でファンになりました」

 大根氏が見た回は「謎のビニール紐」(1992年3月20日放送)。前代未聞の「調査打ち切り」という結末に、愛好家の間では今でも語り継がれる回だ。愛好家によると、こうした回は“オカルト回”と呼ばれるほか、局長の西田敏行がVTR明けに号泣している“感動回”、くだらなさを徹底的に突き詰めた“爆笑回”。学術的価値も漂う“アカデミック回”、通常のテレビならば取り上げることを躊躇するであろうが、必ず面白い“小ネタ回”などに分類できるという。

 そして、どんな依頼でも真摯に調査に取り組むのが、探偵たち。「史上最高に怖い映画」(09年8月28日放送)という依頼で出演したライターで編集者のネルソン水嶋氏は、「とにかく親身だった」と振り返る。「来てくれた探偵は田村裕探偵。カメラが回っていなくてもずっと隣にいてくれ、移動中も僕の隣に座って、最近、彼女ができた話やコンビ仲、お笑い界の現状まで語ってくれたんですよ」

 同様に、これまで通った依頼十数回、13冊もの探偵手帳を所持し、常連依頼者として番組ファンの間で有名人な“人間パラダイス”こと野々山昌宏氏も、探偵と依頼人の距離をこう語る。「田村裕探偵とは、撮影後に2人きりで在来線で帰宅。ジュースを奢ってくれ、普通にしゃべってくれて、“タレントさんと、こんなことってあり!?”と驚きました。何度もお会いした石田靖さんは撮影後、スタッフさんも交えて一緒にご飯を食べることはしょっちゅう。2人きりになっても気さくに話してくれるんです」

 探偵たちの温かい人間性が垣間見えるというもの。こうしたカメラに映らないところでの行為が、番組の面白さにつながるという。00年から13年間、探偵を務めた松村邦洋さんが教えてくれた。「『ナイトスクープ』は素人さんが主役の番組です。だから移動でも、探偵だけグリーン車で依頼人はほったらかし、なんてことは絶対にありえない。カメラがあることを意識させないように、オン・オフなく依頼人と接することを大切にしていました」

 特に松村さんは「子どもからの依頼に対して、いつも優しかった」(前出の大根氏)と高評価を受けるが、本人はそうした仕事ぶりに至った秘話を語ってくれた。「僕が新米探偵の頃、桂小枝さんに、依頼人との接し方について聞いたことがあるんです。すると、“まっちゃん、壁に緩い球を投げると緩い球が返ってくるやろ? 速い球なら速い球。人間も同じや。勢いよく挨拶すれば勢いよく返ってくる。優しく話せば相手も優しく話してくれる。小さい子どもでも、それは同じ”と。それ以来、子どもと話すときは腰を落として、同じ目線にして話すと、よくしゃべってくれるようになりました」

 松村さんは続ける。「何よりも、この番組はスタッフが優秀。みんな頑張っていて僕らの100倍は大変ですよ。台本もないし、結末もない中で、あんなに面白くできるなんて。僕が入る以前は、いい番組作りをするために、探偵とスタッフが熱く言い合うこともあったそうです」

 そうしたスタッフの頑張りが番組の信頼感につながり、絶大な影響力を生み出していくのだろう。前出の水嶋氏が「出演経験は一生自慢できる思い出。話す人全員に“すごい!”と驚かれたり“神!”と崇められます」と言えば、大根氏も、「番組の影響を受けた自身の作品はたくさんあります!」と語る。「実際にあった依頼をアレンジして脚本を書いたこともあるし、〈そんな依頼はナイトスクープにでも解決してもらえばいい〉というセリフを書いたこともあります。ちなみに、そのセリフの“依頼”とは“20年前のカラオケビデオに出演している女性モデルを探してほしい”。ありそうでしょ?(笑)」(大根氏)

 国民に愛され続けるナイトスクープ。それでは、過去に放送された5つの神回を紹介しよう。

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