■風邪薬や頭痛薬、胃腸薬の賢い選び方

 では、個別の薬それぞれの選び方はどうか。たとえば風邪薬は、その種類の多さに驚く人も多いだろう。しかし、基本的には、多様な症状にバランス良く対応した総合感冒薬と、発熱、のどの痛み、せきなど症状別の専門系の2つに分かれる。『市販薬は成分表示だけ見ればいい』(誠文堂新光社)の著書でもある医薬品登録販売者の岩井浩氏は、「特定の症状に絞った薬を飲んだほうがいい」と話す。

「薬はそもそも異物ですから、根本的には不要な成分をできるだけ摂取しないほうがいいわけです。なので、熱や頭痛がひどいなら解熱鎮痛薬(頭痛薬)、咳やのどの痛み、痰の絡みがひどいなら鎮咳・去痰薬、鼻づまりなら鼻炎薬を用いるのがいいでしょう」(前同)

 また、風邪薬で注意したいのが薬の併用だ。「とりあえず総合感冒薬を飲んだものの、頭痛がするからといって頭痛薬を飲むのは避けてほしいですね。相乗作用で効き過ぎてしまい、たとえば熱を下げ過ぎるなどといった好ましくない影響が出ることがありえますから」(同)

 前出の大手薬局社員が、風邪薬の“正解”をこう話してくれた。「鼻炎や咳がひどい風邪に優れているのは佐藤製薬『ストナ』シリーズで、総合力では『ルルアタックEX』と使い分けている薬局関係者は多いと思います。もし寒気がひどいなら、体を温める『葛根湯』など漢方もオススメです」

 続いて頭痛薬だが、専門医は次のように話す。「頭痛は、緊張型頭痛と偏頭痛の大きく2つに分けられます。偏頭痛を市販薬で対処するのは難しいので医師に相談すべきですが、筋肉の凝りやストレスで発生する緊張型頭痛であれば、市販薬も有効です。現在の市販薬で効能が高いのは、もともと処方薬だった『ロキソニンS』。一方で胃腸への負担が大きいので、症状がひどいときにロキソニンを使い、常用薬としては胃腸への負担が小さい『イブA錠』がオススメ」

 腹痛、飲み過ぎ、胃もたれと、お世話になることが多い胃腸薬。しかし、胃腸薬は用法によって種類が細かく分かれているため、「風邪薬同様、症状に合ったものを選ぶのがいい」(前出の岩井氏)という。

 そこで、胃腸薬を6種に分けて、その特徴を表したのが最終ページの表だ。「胃酸過多なら『ガスター10』の一択ですが、ときには自分で見分けるのが難しい症状もある。その場合は、薬剤師や登録販売者に相談して一緒に選ぶのも手です」(前出の大手薬局社員)

 また、肩こりや腰痛、ねんざなどの際に使用する外用消炎鎮痛剤、いわゆる湿布は、気軽に使いがちだが、注意点は意外と多い。「『ロキソニンSテープ』は医療用でも使われているように、その効果は大きいのですが、胃の不快感を訴える人もいます。また、同じく効果が高い『モーラステープ』は、使用箇所に直射日光を当てることで重篤な光線過敏症を引き起こす可能性があります。薬局での購入時に指導がある場合は、絶対に聞き流さないでください」(前同)

 花粉症やハウスダストによるアレルギー性の鼻炎は、「『アレグラFX』が医療用と同成分なので、オススメです。眠くなりにくいのもポイント」(同)

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