■大阪市が頭一つ抜け出ている!?

 前出の小池氏によると、「誘致レースで先行するフロントランナーは4か所ある」と言う。大阪市(大阪)、横浜市(神奈川県)、苫小牧市(北海道)、佐世保市(長崎県)だ。なぜ、この4か所が誘致でリードしているのか。「第一に、行政トップの意思が明確になっていることです」(前同)

 カジノ誘致には地方議会の承認が義務づけられているため、行政トップの意思は極めて重要なのだ。「北海道の場合、苫小牧市長はヤル気満々。ただし、政令指定都市でない同市は北海道庁に動いてもらう必要があります。ただ、知事はまだ意思を明確にしていません。それは横浜市も同じ状況ですが、早晩、北海道知事と横浜市長も、カジノ誘致に舵を切ることになると考えています」(同)

 小池氏は他に、「地元で誘致への理解があり、誘致に携わった期間が長いこと」「誘致を進める都市が、その近隣の中核都市であること」を挙げる。「この3条件に照らし合わせると、トップが強烈すぎるくらい誘致に積極的な大阪が、4候補の中で頭一つ抜け出ていると言えます」

 日本維新の会代表の松井一郎大阪府知事にとって、大阪湾岸部の人工島・夢洲でのカジノ開設は悲願。「法案成立を見込み、早くも世界的IR企業による“大阪詣で”が始まっています。マカオで世界最大のIRを経営するギャラクシー・エンターテインメント、船が乗ったような斬新なデザインのマリーナベイ・サンズ(シンガポール)を経営するラスベガス・サンズが、大阪進出を狙っていいます」(地元財界筋)

 大阪には、2025年に開催される万博に立候補している強みもあるという。「大阪万博ではIRからの収益を財源にする方針で、日本政府としても、大阪に万博を誘致する以上、その財源となるIRを大阪に設置する必要があります」(前出の小池氏)

 早くも大阪には“当確”ランプが点灯しているような状況だが、そうなると、残る2枠を横浜、苫小牧、佐世保が争うとみられる。「現状ではそうなるでしょうが、法案成立後の流れでいうと、まず自治体がIR事業者を公募で選び、政府が自治体からの区域整備計画の申請を受けつけ、21年頃に認定する予定です。オープンは早くて24年でしょうが、問題は21年の区域認定です。現在トップを走っている大阪も、それまでにどう情勢が変化するか分かりません。万博誘致の成否は今年の11月に決定しますが、もちろん、大阪に万博が来ない可能性だってあるわけです」(前同)

 “当確”の大阪にも死角があるようだ。一方の横浜市(候補地は山下埠頭)は、政治状況に左右されそうだ。「菅義偉官房長官という有力閣僚の地元という強みがあるのは事実ですが、3年後に政権がどうなっているかは分かりません」(同)

 “4強”の一角である佐世保市も同様だ。「ハウステンボスに隣接してカジノを開設するプランですが、立地的には、中国、韓国から観光客を呼び込みやすく、“オール九州”で誘致している点が強みです。九州財界は、麻生太郎財務相の親族が経営する麻生グループの牙城ですから、意外と早く“当確”が出るかもしれませんね」(地元のマスコミ関係者)

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