■有効なトレーニングと食事は?

 では、どんな運動を自身で実践しているのか。岡田氏は大学時代にヨット部に所属してから現在まで運動を欠かしたことがなく、どんなに忙しくても週に1回はスポーツジムに通い、最低30分、ランニングと筋トレを中心にトレーニングをしているそうだ。

「ランニングはマシンを使っています。本当は外を走れればいいのですが、都心は大気汚染もありますから。走るのがしんどいならウォーキングでもいいと思いますが、その場合、ダラダラ歩いても効果はありません。汗がうっすら出る程度で、脈拍数が最大“165-年齢(50歳なら、1分間で115)”まで上がる、つまり適度な負荷をかける(健康な人の安静時の脈拍数は1分間で50~90)ことが重要なんです」(前同)

 日常的に負荷をかけることで心肺機能が徐々に高まると、血圧や血糖、コレステロール、中性脂肪、尿酸などの数値が改善し、がんなど生活習慣病のリスクが低くなるのだという。

 また、筋トレに関しては、「ぜい肉を落とし、転倒しても骨折しないための最低限の体力を保つために行います。足腰を骨折し、寝たきりになると、一気に老け込みますからね。筋トレの方法については、いきなり重い負荷をかけると逆効果になることもありますから、自分の体力などに合わせて、1~5キログラムくらいから始めるといいでしょう」(同)

 ジムに通う時間がないという多忙な方は、通勤電車の中で吊革につかまらずに立っているだけでも十分な運動になる。「揺れる車内でバランスを取るのは、思った以上にさまざまな筋肉を使っているんです。こうして毎日、微妙に筋肉を動かすことは、筋トレと同様の効果をもたらします」(同)

 では、食事に関しては、どう気をつければよいか。岡田氏が勧めるのは、ずばり「和食」だ。「日本人の平均寿命がトップクラスなのは、和食のおかげでしょう。まず、欧米人に比べて魚を多く摂ることがポイントです。肉より魚を多く食べる人のほうが、がんや心筋梗塞に罹るリスクが圧倒的に低いという追跡調査の結果も出ています。それから和食には、がんの原因になる物質を中和する効果がある抗酸化物質を豊富に含む野菜や果物も多く、栄養バランスがいい点も優れています」(同)

 実際に岡田氏が、どのような食事を摂っているのかを聞いたところ、「私は、ともかく毎日の食事は栄養バランスを心がけて、和食を摂っています。ご飯に味噌汁、りんごもよく食べますね。ともかく食事は、いかにバランスよく摂るかが健康長寿の秘訣です。だから、お米やパン類を避ける糖質制限もどうかと思います。りんごがいいといっても、他の果物もいろいろ摂る。また、りんごを摂るにしても特定のものに固執せず、いろんな産地のものを摂るのが好ましいです」(同)

 和食の問題点をあえて挙げるとすれば、タンパク質が少し足りない点と塩分が多い点だというが、「肉を摂るのも大事です。肉が悪いといわれるのは成人病の大きな要因である脂質を一緒に摂り過ぎるからであって、脂身を残す、あるいは霜降り肉や内臓(ホルモンなど)を控えれば、なんら問題はないです。また、タンパク質を摂るなら、“畑の肉”ともいわれる豆類、納豆は積極的に摂るのもお勧めします。塩分については、味噌汁を薄味にし、野菜はドレッシングなどを控え、できるだけ生で食べるなどの工夫が必要ですね」(同)

 注意点さえ押さえれば、和食は栄養バランスの取れた“完全食品”なのだ。

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