■谷佳知のヒーローインタビューに涙

 10年4月2日17時40分頃のMAZDA Zoom-Zoomスタジアム広島。普段なら試合前で盛り上がっているはずが、騒然としていた。巨人の一軍内野守備走塁コーチを務めていた木村拓也氏が、シートノック中に意識を失い、倒れ込んでいたのだ。すぐに緊急搬送されたものの、診断はくも膜下出血。意識不明が続き、4月7日に息を引き取る。この訃報に、球界全体が悲しみに暮れていた。

 4月24日の広島戦。木村氏の追悼試合となったが、人一倍ショックを受けていたのが、木村氏と同級生でチームメイトの枠を超えて友人だった谷佳知。試合前に、「まだ信じられない。信じたくない。今日、ひと区切りをつけなければならないことは分かっているが、それでも僕には難しいです」と本音を漏らしていた。

 試合は3-2で広島がリードするが、巨人も8回裏に反撃を開始し、二死満塁のチャンスを作る。絶好の場面で打席に立つのは、「代打・谷」。球場全体のボルテージが最高潮になった中での4球目。高めに浮いたストレートを思いっきり振り抜くと、白球は左中間スタンドに消えていった。奇跡の「逆転満塁ホームラン」を放った谷は、一塁ベース上で珍しく感情を爆発させる。

 試合後のお立ち台に上がったのは、もちろん谷。インタビュアーから「どんな思いで試合に臨まれたのか」と聞かれると、思わず感極まる。「拓也とはずっと同級生で、いつもいつも励まし合って、プロでやったきたんですけど、先に……逝かれて……本当に悲しくて……」

 途中で言葉にできなくなる。今思い出しても、感涙してしまうヒーローインタビューだった。「試合前に、木村コーチの息子の恒希くんが始球式をしたんです。原辰徳監督は恒希くんに、“巨人は君を待っているから”と声を掛けていたんです。その恒希くんは今年の春から大学生。野球を続けていてプロを目指しているといいます。もしかしたら、原監督の言葉が実現する日が来るかもしれませんね」(前出の巨人担当記者)

 男泣きは決して格好悪いことではない。彼らの姿を見ると、そう思えてくる。今季も、我々の胸を熱くさせるプレーをしてくれることだろう。

■プロ野球界 感動の引退スピーチ集

長嶋茂雄【巨人】「我が巨人軍は永久に不滅です」

野村克也【西武】「できることなら頭の中はそのままに、もう一度18歳に戻りたい。やっと野球というスポーツが分かり始めた」

大杉勝男【ヤクルト】「最後にわがまま、気ままなお願いですが、あと1本と迫っておりました両リーグ200号本塁打。 この1本をファンの皆様の夢の中で打たせていただきますれば、これにすぐる喜びはございません」

原辰徳【巨人】「私の夢には続きがあります」

野村謙二郎【広島】「今日集まってる子どもたち。野球はいいもんだぞ! 野球は楽しいぞ!」

木村拓也【巨人】「パパ、頑張ったよ」

三浦大輔【DeNA】「これからも三浦大輔はずーっと横浜です。ヨロシク!」

あわせて読む:
・斎藤佑樹「引退間近」で人脈作り? 次なる道は長嶋一茂!?
・おぎやはぎ小木博明「もったいないなぁ」真野恵里菜と柴崎岳との結婚報道を嘆く
・堀田茜がした出川哲朗への“失礼発言”に批判殺到「何様のつもり」

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4