■通貨として認める法律が成立

「お話ししたように14年に初めて仮想通貨の存在を知り、その後、投資のタイミングを見計らっていました。すると16年になって、日本では仮想通貨を円やドルなどと同じく、通貨として認めるという法律が成立したんです(※2=通称「仮想通貨法」。施行されたのは17年4月1日)。その結果、一般のお金と同じように仮想通貨で買い物できるようになってきました。一部の家電量販店では、仮想通貨で新型の8Kテレビでも何でも買うことができます。面白いところでは、新宿・歌舞伎町の一部の夜のお店でも使えます。特殊な端末に携帯電話をかざすと、保有している仮想通貨で飲み代を支払える仕組みになっているんです」

 仮想通貨は通常の貨幣と同様、流通量が多く、使用している人が増えれば増えるほど価値が上がる。「仮想通貨法は、いわば日本政府から“ビットコインは通貨ですよ”と、お墨付きを得たようなもの。仮想通貨ってなんだか怪しいなと思っていた大衆の不安が一気に払拭されたわけです。ですから、僕は“法律が施行されたら、企業も安心して取引に参入してくるだろうな”と考えたんです。僕が仮想通貨を知ったときには1ビット12万円でしたが、それからいったん2万円まで暴落し、さらに10万円まで戻ってきていました。いよいよ仕込み時期かと思い、17年1月から2月にかけて、5000万円ほどビットコインを買いつけていきました」

 すると、昨年12月半ば、ビットコインは1ビット230万円という過去最高値をつけた。ナカモト氏が買ってからわずか1年足らずで、その価値が23倍に跳ね上ったのだ「5000万円×23倍」だから、しめて11億円の含み益。ところが、その直後、日本銀行の黒田東彦総裁が「(ビットコインは)単なる投機の対象となっている。異常に高騰しているのは事実だ」と発言したため、1ビット130万円にまで大暴落したのだ。現在は、1ビット75万円前後(7月10日時点=以下同)で取引されているが、それでもナカモトさんは、「5000万円×7.5倍」で3億5000万円以上の資産を1年半で手にした計算だ。天井での売り時を逃したようにも思えるが、ナカモトさんは平然としている。

「逆に値下がりしている今が、買っておくチャンス。僕もちょこちょこ買い増しています。僕の試算では、ビットコインの最低価格は1ビット65万円程度。これはマイニング業者のコストなどから計算しています。ですから、75万円前後という価格は、“底値圏”に近いと言えます」

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