■オヤジにとって昼飯と3時がきつい

 さて、会社に行って午前中の仕事を終えて、お昼になったらランチタイムですが、ここに来てグルテンフリー生活も急に難易度が上がってしまいました。というのは、日本の昼飯は小麦粉に溢れているからです。

 まず、ラーメン、うどん、そうめんなどの麺類がダメ。蕎麦粉を原材料にした蕎麦ならよさそうなものですが、あれは「二八そば」という言葉もあるように、大抵の製麺会社では2割ほど小麦粉を使用しています。もちろん蕎麦に乗せる天ぷらやコロッケなどの揚げ物も、衣に小麦粉やパン粉が使われております。

 ちょうどグルテンフリー生活中に映画『万引き家族』を観たので、「インスタントのカレーヌードルにコロッケを浸す」のをやってみたくて仕方なくなりましたが、2週間はおあずけになりました。

 麺類が駄目ですが、他の食材はどうでしょう。とりあえずハンバーガー店のメニューを見てみましたが、こちらも食べられるものはほとんどありません。パンは小麦粉が入っているので当然として、バンズだけを取り出してハンバーグとして食べようと思っても、あれはつなぎでパン粉が使われているんです。

「フィレオフィッシュ」のようなフライも、揚げる際にパン粉と小麦粉を使用しているし、アップルパイやフライドチキン、クラムチャウダースープなどのサイドメニューも食べられない。唯一、いけるのが、フライドポテト。短冊切りしたじゃがいもを素揚げして塩を振っただけのシンプルな調理法に、小麦粉が入りこむ余地がなかったみたいです。

 それで気づいたのですが、「グラタンコロッケバーガー」なる料理は、グラタンのクリームソースに具材のマカロニ、それらを包む衣、そしてそれを挟むパンと、全部が小麦粉できている食品なんですね。炒めたり捏ねまわして乾燥させたり揚げたりイースト菌を混ぜて焼いてみたり、ジョコビッチ選手が食べたらひっくり返ってしまいそうです。

 いまや国民食のカレーライスも、やっぱり食べるわけにはいかない。インドや東南アジアのカレーは大丈夫なんですが、日本式のルーは小麦粉でとろみを出してるので、アウトなんです。と、考えてみれば日本のカレーライスは、ライスの上にカレー粉を溶いた小麦粉の汁をかけているわけで、「炭水化物オン炭水化物」料理なわけです。関西の人がよく食べるという「お好み焼きをおかずにご飯を食べる」食生活を笑えません。

 そのお好み焼きも当然ダメ。関西は「粉もん文化」と呼ばれてますが、お好み焼きもたこ焼きもきつねうどんもぜんぶNGです。

 そんなわけで結局、ファストフードでグルテンフリー食事が可能なのは、牛丼屋と回転寿司だけという結論に達しました。

 三時のおやつにもひと苦労。ケーキ、クッキー、シュークリーム、クレープ、エクレア、パンケーキなどなど、いわゆる「スイーツ」と呼ばれるものは全部いけません。「アイスクリームは乳製品だから大丈夫だろう」というのは早計で、コーンは小麦粉でできているため、カップのものしか食べられません。

 また、煎餅などの「和風しょっぱい系」のお菓子も、「もち米でできてるから問題ない」と買ってみようとしたのですが、買う前に念のため裏の原材料表示を見たら、かなりの割合で小麦粉が使われていました。小麦粉が使われてなくても、「本商品製造工場では、卵、乳成分、小麦、えびを含む商品を製造しています」などの表記がある製品もあり、なかなかトラップが多い。

 ポテトチップスも、ファストフードのフライドポテトと同じ製法で作られますが、コンビニで売ってるものの表示を読んだら、なぜか小麦粉が使われてたりするようです。ただし、ちょっと高い値段のするポテチは大丈夫でした。商品によっていろいろ違んですね。高い商品は添加物も少ない……みたいなことになるんでしょうか。

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