それぞれの国を代表する12名のトップジョッキーによって行われる対抗戦「ドバイデューティーフリー シャーガーカップ」(8月11日)に、出場することになりました。この対抗戦に出場するのは3年ぶり8度目。1チーム3名編成で、僕がキャプテンを務める世界選抜、ヨーロッパ選抜、イギリス・アイルランド選抜、女性騎手選抜の4つに分かれ、各騎手が5鞍に騎乗し、チーム優勝を目指します。

――日本を代表してきたんだから、ここは一発! チームの優勝はもちろん、それとは別に、最多ポイントを獲得した騎手に贈られる“シルバーサドル賞”を密かに狙った前回は、気持ちが空回りしたのか、4着、3着、8着、6着、8着という、なんとも中途半端な成績に終わってしまい、チームも4チーム中3位。女性騎手チームに初優勝をさらわれ、狙っていたシルバーサドル賞も、イギリスの女性ジョッキー、サマンガ・ベル騎手に持って行かれてしまいました。それでも、結果とは別に、伝統のあるアスコット競馬場で世界のトップジョッキーと、その腕を競い合えたことは、後半戦の競馬に向けてとてもいい刺激になりました。

 僕がこのアスコット競馬場で初めて乗ったのは、ホワイトマズルとコンビを組んだ94年の英G1「キングジョージ6世&QエリザベスS」(2着)です。

――これが、あの、アスコット競馬場かぁ……。華やかさと厳粛さ。イギリス王室が所有し、エリザベス女王の馬もレースに出走するという古き良き競馬場を目の当たりにして、体全体が心地よい緊張感に包まれたのを覚えています。

■G1凱旋門賞の壁は高く険しい

 ホワイトマズルとは、この年の「凱旋門賞」にも挑戦。スキーパラダイスで仏G1「ムーラン・ド・ロンシャン賞」を勝ち、その勢いのまま、ぶつけたつもりでしたが、結果は6着……。

――あのときの自分に、今の技術と経験値があったら……。挑んでは跳ね返される高く険しい凱旋門賞の壁も、あのときに、打ち破れていたかもしれません。ホワイトマズルは、それだけの馬でした。

 ホワイトマズルが挑んだこの「キングジョージ6世&QエリザベスS」には、エアシャカールとのコンビでも挑戦しています。皐月賞を勝ち、日本ダービーはアグネスフライトに7センチ差で惜敗。普通に考えると次の大きな目標は「菊花賞」ですが、あえてイギリス遠征を敢行したチームの皆さんの勇気あるトライは、今思い出しても心が熱くなります。

 その後も、アグネスワールドで「キングスタンドS」(00年2着)、エイシンヒカリで「プリンスオブウェールズS」(16年6着)に挑戦しましたが、日本馬に騎乗してアスコット競馬場で勝ちたいという夢は、いまだ夢のままです。アメリカのブリーダーズカップも勝ちたいし、凱旋門賞も勝ちたい――すべての夢がかなうまで、僕の騎手人生も続きます。

あわせて読む:
・宮沢りえ他「40代で結婚した」芸能美女たち