『BANANA FISH(バナナフィッシュ)』(フジテレビ系)の第3話が、7月19日に放送された。アッシュの手段を選ばない生き方に、心をかき乱される回だった。
元仲間のオーサーの裏切りと、マフィアのボス、ゴルツィネの罠にかかり、刑務所に送られたアッシュ。彼が殺されないように、刑事のチャーリーは、同じ刑務所に収監されているジャーナリストのマックスを同室にさせ、守ってくれるよう頼み込んでいた。しかし、若く美しいアッシュの容姿は刑務所内で話題となり、ゴルツィネの息がかかった囚人、ガーベイに狙われ襲われる。
運ばれた医務室で、マックスも“バナナフィッシュ”について調べていたことが分かったアッシュは、情報を共有していくが、それと同時に、イラク戦争のときにアッシュの兄グリフィンの脚を撃ったのも、当時同じ隊にいたマックスだったと知ってしまう。アッシュは兄への恨み、マックスは罪悪感で、お互いに距離を置き始めてしまう。
時を同じくして面会に来た英二に、アッシュは人知れず手紙を渡し、彼にチャイナタウンへ行き、仲間のショーターに会うよう頼みこんだ。誰にも知られるなとメッセージにあったため、英二は誰にも告げず、単身チャイナタウンへと向かうのだが……。
今回、ゴルツィネの勢力に満ちた刑務所の中に投げ込まれたアッシュは、ゴルツィネの手下に襲われてしまう。直接暴力を受けるシーンはなかったが、助けにいったマックスが発見したアッシュは、ほぼ一糸まとわぬ姿で床に倒れており、手首は縛られ、白い肌には無数のアザがあり、口も聞けぬほどに疲弊していた。
これまで、何者にも屈しない強さを見せていた彼が、敵に陥落したような姿に、見ているこちらは、思わず息をのむほどの悲しみと衝撃を受けた。襲われたときの状況を「多勢に無勢だ」と言ったアッシュだが、生きるため、目的のためには、手段を選ばないという覚悟なのだろう。
体を張って生き延びようとするアッシュのやり方は、カプセルに入れた手紙を英二に引き渡すシーンにも見て取れる。アッシュはふざけているように見せかけ、ディープキスの口移しで、英二の口にカプセルを押し込み、周囲に知られず、手紙の受け渡しを成功させた。
キスをする前、アッシュは愛おしそうに英二の髪をいじり、頬に触れて、優しく瞳を見つめ、周囲を騙す。そのシーンは、まるで視聴者をも惑わすような雰囲気で、心奪われた人も多かっただろう。しかし、唇が離れた瞬間、見つめ合う2人の眼差しは強く、無言の中での会話が成立していることが分かる。
しかし、アッシュがこうした捨て身ともとれるような手段をさらりと行う背景には、どのような過去を生きてきたのだろうかと考えさせられ、つらい気持ちにもなるワンシーンだった。
ラストシーンで、アッシュと敵対するオーサーに捕まった英二。彼に何が起こるのか、とても不安ではあるが、強い心でつながり、お互いを助けたいと思い合うアッシュと英二の友情を信じて、次回の展開にも期待したい。