以前お伝えしたディープインパクトの血を受け継いだ仔による壮大な夢プラン……凱旋門賞を目指した挑戦がスタートしました。7月6日にフランスに入り、現地で開業する小林智厩舎に拠点を置いて調整を続けてきた2頭、ジェニアルとラルクの初陣です。先陣を切ったのは、仏GⅠを3勝したサラフィナを母に持つジェニアル(牡4)でした。

 体調は? 精神面は? 飼葉の食べっぷりは? 飛行機による長距離輸送の影響は? 飲み水は? 日本での競馬と違って、海外でのレースは心配の種が尽きることはありません。ひとつひとつ、過去の反省を踏まえ、より馬に負担のかからない環境を整えようとスタッフも必死ですが、それでも、これで完璧ということはなく、日々、理想を追い求めているのが現状です。

 そんな僕の心配をよそに、現地で再会したジェニアルはリラックスしていたし、体調も問題なさそうでした。日本では500万クラスの条件馬が海外の重賞に挑戦すると聞いて、中には、本気度を疑う方もいたかもしれませんが、血統的には仏の馬場が合うはずだし、――日本馬、ここに在り! それを見せつける条件はそろっていました。

 気温が30度に届かないパリ郊外のメゾンラフィット競馬場。1頭が取り消しで、日本では馴染みのない4頭立てのレースとなったG3「メシドール賞」(芝1600メートル)は、その格好の舞台となりました。

――レースの主導権を握りたい。ポンとスタートを切った僕とジェニアルは迷わず先頭へ。折り合いもバッチリで、欧州独特のゆったりとした流れの中、リラックスしてレースができました。

 最後の直線で、外からジミートゥータイムが伸びて来るのも想定内の出来事です。GOサインに鋭く反応したジェニアルが内から差し返したところがゴール。父ディープインパクトの走ったフランスで、4頭立てとはいえ、重賞馬2頭を相手にして挙げたこの勝利は今後に向けてとても価値のある1勝になりました。

 いつか武豊騎手と凱旋門賞を勝つのが夢です。そう言い続けてきてくれた松島オーナーの喜ぶ顔を見ることができて、僕のうれしさも2倍、3倍になりました。

 牝馬限定の準重賞に出走したラルクは、10頭立ての8着に終わり、今回の仏遠征は、晴れのち雨という結果でしたが、ディープインパクトの仔、そのまた仔による凱旋門制覇という壮大な夢への挑戦は、まだはじまったばかりです。2頭の次なる活躍に期待してください。

 今夏は日本と欧州を行ったり来たりの騎乗が続きますが、どちらも僕にとっては大切な競馬です。小倉も福島も、新潟も函館、札幌も、海外でのレースも、常にベストを尽くすという意味ではすべて同じです。日本で騎乗するときは競馬場のスタンドで、海外のレースはテレビで、武豊の競馬を楽しんでください。

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