■二刀流は開花するか!?

 長打力に定評のある野手といえば、花咲徳栄の野村佑希も負けてはいない。1年生の秋から4番を任され、昨年夏の甲子園では、打率5割超で2本塁打。「ホームランバッターの資質を備えている」と各球団のスカウトが絶賛した。そんな野村は今年、背番号1を背負い、エースとしてチームを引っ張る。「140後半のストレートに、スライダー、フォークもいい。投手コンバートはチーム事情からでしょうが、想像以上の投球を見せています」(前同)

 しかし、前出の持木編集長は、その器用さが不安材料になるという。「甲子園で投げるとなると、心身の負担は大きい。そうなると往々にして、肝心の打棒が湿ってしまいがちです。ある意味、投手としての才能が、彼にとっての足かせになってしまうかもしれません」

 通算56本塁打を誇る野村だが、今回の予選ではホームランなし。甲子園では周囲の不安をかき消し、投打でチームを勝利に導けるかが見どころになりそうだ。

 けっしてパワーヒッターではないが、左右に打ち分ける好打者として注目を集める選手もいる。日大三の遊撃手・日置航だ。キャプテンを務める日置は、激戦の西東京大会でチームを牽引する大活躍。準決勝ではリードされた場面で反撃の二塁打、決勝では先制2ランを放つなど、勝負強さを発揮した。総合力の高さは、誰もが認めるところだが、「ただ、良くも悪くも、すべてが平均点。突き抜けたところがないのが少し寂しい」と持木編集長は、さらなる成長に期待を寄せる。

 最後に紹介するのは、大阪桐蔭の根尾、藤原と並ぶ今年の超目玉。ドラフト1位指名が噂されている報徳学園の小園海斗だ。「スカウトたちが“立浪二世”と評するほど、野球センスの塊。ショートの守備は抜群で肩も強い。もちろんバッティングは申し分ない。高いレベルで三拍子そろった、まさに逸材です」(スポーツ紙記者)

 県大会決勝では、姫路ウイング球場のバックスクリーンに特大のホームランを叩き込んだ。兵庫県高野連の関係者は“まさか高校生が!?”と驚愕したという。「小園選手は唯一、長打力だけが物足りないといわれていました。しかし、オフの間に肉体改造してパワーが開花。スカウトの評価は相当、高まっているはずです」(持木編集長)

 今回リストアップした金の卵以外にも、今大会で初めて頭角を現す選手がいるかもしれない。「個人的には福岡・折尾愛真の長野匠馬選手に注目。1番打者でありながら長打力があって、非常に面白い存在です」(前同)

 超高校級球児から隠れた原石まで、100回目の夏も熱くなりそうだ。

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