■ある意味で朝ドラの定番パターン!?
スライスオブライフ、「人生のひとコマ」とでも訳すのだろうか。確かに『半分、青い。』では、15分の放送のうちに必ず何かが起こり、誰かがやらかす。鈴愛や誰かの人生がときに小さく、ときに大きく揺らぐのだ。さらに北川氏は『半分、青い。』の小説版を読んで泣いてしまったというファンのツイートに対して、「ありがとうございます!ドラマでもぜひっ。そう、無駄なことは一つもない。無駄な日も一つもない。無駄な感情も一つもない、と思っています。何が起きても。しんどくても。ま、たいていしんどいことの方が多いよね」(原文ママ)と返している。
「しんどいことのほうが多い」というのは、鈴愛の人生そのものだ。仕事の挫折に離婚と、鈴愛は常に人生の荒波に揉まれている。それでも彼女は生きることを諦めていないし、絶望もしていない。前向きに、視聴者からツッコミを受けるほどにふてぶてしく生きようとしているのだ。これこそ北川氏が『半分、青い。』で描こうとしていることではないだろうか。要するに、物語の展開が早いのではなく、“出来事が多い”のだと理解したい。起きるのは「しんどいこと」ばかりなのだが、これも本作においては前提なのだ。そのことを踏まえて見れば、イライラすることもなくなるだろう。
そもそもヒロインの七転び八起きを見守る、というスタイルは古典的な朝ドラのスタイルだ。鈴愛がどう自分の人生を生き抜いていくのか、これからはイライラせずに、ゆっくり見守っていこうじゃないか!(朝ドラ批評家 半澤則吉)
半澤則吉の朝ドラブログ
http://blog.livedoor.jp/hanzawanoriyoshi
※画像はNHK『半分、青い。』番組公式サイトより