日本ではローカル競馬が開催されるこの時期、欧州では数多くのG1レースが行われています。イギリスでは、エクリプスS(芝1990メートル)、ジュライカップ(芝1200メートル)、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(芝2390メートル)など。フランスでも、モーリスドゲスト賞(芝直線1300メートル)、ジャックルマロワ賞(芝直線1600メートル)、ムーランドロンシャン賞(芝1600メートル)、ヴェルメイユ賞(芝2400メートル)などなど。日本のファンにもおなじみのG1レースがずらりと並んでいます。

――日本調教馬で海外G1制覇を。日本中の競馬ファン、ホースマンの、そんな夢を実現してくれたのが、モーリスドゲスト賞を制した(1998年)、シーキングザパールです。

 完璧なスタート。余裕十分の手応え。残り100メートルで勝利を確信した僕のテンションもマックスで、心臓が口から飛び出るんじゃないかと思うほど興奮していました。満面の笑みに、ド派手なガッツポーズ――あのときの写真は、今、見ても、「ほんまに、うれしそうやなぁ」とつぶやいてしまうほど、らしくない一枚でした。

 さらに、この翌週に行われたジャックルマロワ賞では、岡部さん(幸雄・元騎手)とタイキシャトルのコンビが優勝。2週続けて、日本馬の強さを世界にアピールできたことに、じんわりと心が熱くなったのを思い出します。

――2~3年すれば、そんなに騒ぐことじゃなくなるから。いつも冷静沈着な岡部さんらしい言葉に、思わずうなずいていた僕でした。そして、この岡部さんの言葉は、見事に、その後の日本馬の活躍を言い当てていました。

 シーキングザパールでモーリスドゲスト賞を制した翌年、アグネスワールドで、アベイ・ド・ロンシャン賞を制覇。さらにその翌年、再び、アグネスワールドとのコンビで、近代競馬発祥の地・イギリスで行われたジュライCに挑むことになったのです。

 舞台となったのは、ロンドンの北東約100キロに位置するニューマーケット競馬場。牧場の他にも、調教施設や厩舎、ジョッキークラブなどが集まっている、文字通り“競馬の町”です。このレースで、堂々の1番人気に推されたこと。その期待に応えて優勝できたことは、僕のジョッキー人生の中でも、ひときわ大きな輝きを放っています。当時、僕はアメリカの西海岸を拠点にしていましたが、戻るなり、ジョッキー仲間や厩舎スタッフの方から、「おめでとう!」という言葉をかけていただいたことを覚えています。

――日本でも夏に、こういったG1レースがあればいいのに。そう思っているのは僕だけではないと思います。数を増やせばいいというものではないというのも確かですが、最大の馬産地である北海道に、こんなG1があったら、夏競馬がもっと盛り上がると思いませんか。

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