竹内涼真
竹内涼真

 皆さん、こんにちは! 年間映画視聴本数200本超えの映画コラムニスト・中井仲蔵と申します。この連載では、お忙しい皆様に代わり、若くてカッコいい俳優が主演する話題の映画を、中年男の目線でお伝えしたいと思います。

 今回取り上げるのは、『別冊マーガレット』に連載されていた少女漫画が原作の『センセイ君主』。

 主演は、最近グイグイ来ていると評判の、竹内涼真くん&浜辺美波ちゃん。他に元AKBの川栄李奈ちゃん、新川優愛ちゃんが出演しているラブコメディです。渋谷HUMAXシネマで、夏休みではしゃぐ女子中高生に囲まれながら、大人料金1800円を支払って観て参りました。

 映画の中で、浜辺美波ちゃんが演じていたのは、「バカだけど一生懸命な女子高生」。彼女が担任の数学教師に恋をして、猛烈にアタックする、というのが物語の骨子です。

 竹内涼真くんが演じるその教師は、フィールズ賞の候補になるような天才的数学者なのに、「大好きな数学に向き合うのが怖くて」というよく分からない理由でフランスの大学の教授職を辞し、美波ちゃんの通う高校で教鞭をとっているという設定です。初めは彼女を鬱陶しいと思っているものの、やがてそのひたむきさにほだされて……という、おなじみの展開が準備されています。

 さて、主演の女子高生を演じた浜辺美波ちゃんといいますと、さすが東宝シンデレラのニュージェネレーション賞だけあって、透明感のある清楚な美少女でした。「バカ」を表現するためにテンションが高めの大変な熱演を見せてくれましたが、まだ若いのに大したものです。

 惜しいことは、せっかくの美しいフェイスを歪ませて変顔を作り、奇声ともいうべき抑揚のおかしなセリフを絶叫するものだから、オッサンのぼくにはときどき何を言ってるのか聞き取れなかったこと。せめて後で音声だけ撮り直すとかできなかったものかしらん。熱演が空回りしているようで、ちょっと気の毒になりました。

 そんな難しい要求に一生懸命応じていた美波ちゃんでしたが、さらにハードな任務を与えられていたのが、相手役の竹内涼真くんです。

 そもそも主役級の二枚目俳優には、卓越した演技力や際立った個性、人々を爆笑させるお笑いのセンスなどは要求されません。必要とされているのは、「持ち前のカッコよさ」だけです。

 この『センセイ君主』で観客の女子中高生たちが竹内くんに求めるのも、他の人になりきる演技力などではなく、この「そのままのカッコいい竹内くんを見せて」ということだけ。

 この「カッコよさ」というのは、鼻毛が一本出てるだけで簡単に崩れてしまう、非常にあてにならないものですが、竹内くんに与えられた最大のミッションは、そのカッコよさだけを武器に、「主人公が女子学生好きの変態に見えないようにする」ことでした。

 というのは、現在の日本では「青少年保護育成条例」のおかげで、「分別のある大人は、まだ判断力の乏しい18歳未満の子どもと“カンケイ”を持ってはイカン」と決められているからです。

 まっとうな教師は、在学中の生徒に手を出したりしません。確かに、世の中には「先生と元教え子」という関係のカップルはたくさんいますが、そういう人たちはみんな、ちゃんと生徒のほうが学校を卒業するまで待って、ようやく男女の関係になっています(たぶん)。

 映画が公開された日の時点で、美波ちゃんは17歳で、竹内くんは25歳。現実世界でも、竹内くんが美波ちゃんに変なことをしたら大変なことになる年齢差です。当然、作品の中でも、肉体関係はおろかそれを想起させるような表現は慎まなければなりません。

 一瞬でも観客に「アレっ?」と思われたら、「竹内くんって、女子学生好きの変態じゃね?」という疑問が湧き出し、作品が台無しになってしまいますからね。

 ネタバレになるので詳細は省きますが、そんな悪条件の中、脚本の助けも借りて、竹内くんは針の目を通すような慎重さで、条例にひっかかる表現を見事に避けてました。

 途中、教師という立場を利用して、美波ちゃんに「放課後に数学準備室まで来なさい」と、他に誰もいない薄暗い部屋に呼びつけたりするくだりや、「ご褒美」と称して美波ちゃんに“ある行動”をするシーンでは、ちょっとヒヤリとしましたが、いわゆる「ただしイケメンに限る」というテクニックを駆使し、観客の女子中学生の反応を見る限り、なんとか見事に乗り切ってました。

 そんな大仕事をこなしたのだから、竹内くんが「とても天才数学者に見えない」とか「演技に抑揚がなく単調」だのという批判は、映画の本質を考えれば些細なことです。竹内涼真くんには演技力も個性も必要ありません。ぜひとも、今後もカッコよさだけを追求していただきたい。

作品評価………………………★★☆☆☆
竹内涼真くんのカッコよさ…★★★★★
オッサンへのおすすめ度……★☆☆☆☆

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