賛否両論『半分、青い。』の“神回”こそ、朝ドラの真髄だったの画像
※画像はNHK『半分、青い。』番組公式ホームページより

 8月20日の週の連続テレビ小説半分、青い。』(NHK)に、ネットがざわついた。放送前に脚本家の北川悦吏子(56)が自身のツイッターで、「満を持しての神回です」と宣言したのだ。SNSでは好意的な意見も多いが、「何回目の自称神回?」などと冷ややかな意見も散見された。

 このように脚本家がツイッターでアピールしたり、主人公の鈴愛(永野芽郁/18)がエキセントリックな言動を連発するなど『半分、青い。』は攻めた朝ドラのように思われがちだが、本当にそうだろうか。今回は脚本家自らが神回と断言した、8月24日の放送回を振り返り、考えてみたい。

 東京から来た津曲(有田哲平/47)は、鈴愛が店長を務めるセンキチカフェにやってきて、岐阜犬との会話を楽しんでいた。しかし、岐阜犬の声の主で律(佐藤健/29)の母である和子(原田知世/50)が急に体調を崩してしまう。その後、律は和子が食べたいというイチゴを買った帰りに、センキチカフェを訪れる。誰もいない中、律の声を聞いて、岐阜犬が突如、話し始めた。これを受けて律も「ぼくは和子さんの子どもで幸せだった」と、今まで言えなかった、母への正直な思いを懸命に語り始める。

 とにかく佐藤健の涙ながらの演技が素晴らしかった。病床の母に何もできないもどかしさ、切ない想いを吐露したこの回は、北川悦吏子氏の宣言通り、なるほど神回だった。

 この日の放送では「あなたの息子で本当に本当によかった、大好きだ」など律が名言を連発。それまで律は「和子さん」と呼んできたのに、ついに「お母さん」と呼びかけたところもグッときた。回想シーンはまったくなかったが、律の小さい頃や、そんな律を心配していた若き和子さんを勝手に脳内再生し、思わず涙した。そういえば『半分、青い。』ではこれまでもたびたび、親子のやりとりにホロっとさせられてきた。

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