■今はもっぱらチーママ目当て

 それにしても、銀座も変わりましたよ。ひと言で言えば、女の子の質が落ちちゃった。教育ができてないのかな。気の利いた会話もできない。タバコの火の点け方さえ、ぎこちない。それどころか、タバコを吸えない店もある。でも、物は言いよう。「申し訳ないんですが、おタバコはダメなんですよ」 この後に、こう続く。「その代わり、私の親指で良かったら、しゃぶって」 そんなふうに言われたらうれしいよねぇ。実際にそこまでさせてくれなくても気分よく飲める。酒の席というのはそういうものですよ。

 昔はあったけど、今はないのがヘルプというシステムかな。人気の女の子ともなると、贔屓の客が後を絶たず店にやって来る。でも、どんなに人気があっても体は一つしかない。そこで、彼女の代わりを務めるかわいいヘルプの女の子を数人用意している。自分が他の席に行っている間、贔屓のお客さんの相手をさせるわけだよ。だから、ヘルプを教育するのも役目。そして、ヘルプの女の子の給料は自分ですべて払う。たとえば売り上げが2500万円あったら、47%は彼女、20%が店の取り分、そして残りがヘルプの給料に回る。でも、こういうヘルプを置くような店は、今やほとんどなくなった。

 銀座にクラブが何軒あるか知らないけど、僕が今行くのは7軒くらいに限られています。有名な「クラブ順子」は一昨年が開店50周年だった。50年前といったら、僕が銀座通いを始めて間もない頃だった。つまり大ママの田村順子も僕も、それだけ年を取ったということ(笑)。

 今は、もっぱらチーママ目当て。年の頃なら、20代後半から34、35くらい。ちょうど脂が乗ってきたというか、大人の色気がプンプン漂い始める時期。老舗クラブのチーママになったくらいだから、器量もいいし、コミュニケーション能力も高い。話も弾むわけですよ。別に口説こうなんて思わない。銀座は、そういう遊び場じゃないから。27歳くらいで銀座のチーママになっていたら、未来は明るいだろうね。大ママになるか、独立して自分の店を持つ可能性もある。でも、そのポジションは誰もが狙っているから競争率は高い。100人いたら、99人はチーママになれないんです。

 ま、そんなことを含め、銀座で学んだことは数限りない。酒の飲み方、女性との会話、人間観察……。たとえば半世紀も通っていると、銀座に通い続ける人と、「そのうち消えるな」という人かがハッキリ見分けがつく。ずっと通い続ける人は、それなりの品格や人間性がありますから。そんな勉強ができたのも自分で身銭を切ったから。若い頃なんて給料全部はたいて飲んだ。人の金で飲んでるうちは肝心なことは見えてこない。銀座に限らず、酒を通して人生を学びたければ、身銭を切る。これが鉄則です。

 あっ、梅沢さんから、かかってきた(笑)。“もしもし~”――。

みの・もんた 1944年8月22日、東京都世田谷区出身。大学卒業後、文化放送入社。退社後89年から『午後は○○おもいッきりテレビ』(日本テレビ系)の司会で大人気を博し、05年からは8年間『みのもんたの朝ズバッ!』(TBS系)の司会を務めた。夜の銀座通いは現在も続く。

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