■初優勝のインタビューでは涙を流して絶句

――とはいえ、7月の猛暑で愛知県地方は連日の35度越え。体調管理にも気を遣ったのでは?

御 あえて場所中は毎晩、外食していたんです。というのも、大関挑戦中の今年の初場所、初日から7連勝したときに「少し休んだほうがいいかな?」と思って、途中から部屋に閉じこもったんです。それで悪い空気を自分の中に閉じ込めちゃったんでしょうね、それからバタバタと崩れてしまった(黒星が重なった)という苦い経験があるんですよ。名古屋場所は出かけることで、リフレッシュできていたんじゃないかなぁ? それと、母ちゃん(マルガリータさん)の手料理ね。丸ごとのニンニクと酢で鶏肉を煮込んだフィリピン料理をお父さんが宿舎まで届けてくれて、場所中に食べていました。これぞ、スタミナ源ですね! それと、“バロット”。これは日本ではあまり流通していないと思うんですが、孵化する直前の卵をそのまま剥いて、チュルッと食べる。これが、おいしいんですよ(笑)。

――まさに勝利の秘訣ですね。そして、14日目は実力者・栃煌山との対戦に勝って、見事、初優勝。優勝インタビューでは涙を流して、絶句されていましたね。

御(笑)。取組前に、記者の人たちから、「今日、勝ったら優勝ですね?」と振られて、「絶対に泣かないですよ。そういうイメージ、湧かないから」って答えていたんですけど、いざ優勝してインタビュールームに行ったら、感極まってしまって……。言葉が詰まるなんていう経験は初めてのことでした。だからこそ、千秋楽も勝って終わりたかったけれど、まだ力不足でしたね。課題が残りました。

――賜杯を抱いた感想は?

御 重かったです(笑)。なかなかできる経験じゃないですし、応援してくれたすべての人たち、そして出羽海部屋の皆さんに感謝という気持ちでした。僕は東洋大学の出身で、出羽海部屋に入ったのは、まだ4年前のことです。「名門」と言われる部屋を盛り上げようという気持ちでやってきましたが、部屋の皆さんにいろいろなことを教えてもらいながら、ここまできた。そういう意味では、ちょっと恩返しができたかな……という気持ちなんです。

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