夏競馬のフィナーレを飾る「小倉2歳S」を、最高の結果で締めくくることができました。このレースで僕のパートナーを務めてくれたのは、スプリント界の絶対王者といわれたロードカナロアを父に、あのディープインパクトを母父に持つ、ファンタジストです。

 プラス16キロの馬体重。初めての競馬場。前走、最後の直線で少しふらついたことなどなど、ファンの皆さんから見れば心配材料もあったのでしょう。人気は3番人気止まり。でも、僕の中では、“やれる!”という手応えがありました。

 それにしても、予想する際に、なぜ馬体重をそれほど気にするのか、騎手の立場からするとよく分かりません。パドックで糞をすると、それだけで3~4キロは変わります。大事なのは、万全の仕上げをしたうえで、それでも成長分として増えたのか、それとも、トレーニングを緩めた結果なのかではないでしょうか。

 パドックで跨って初めて感じることですが、この日のファンタジストは、梅田智之先生をはじめとする厩舎関係者の皆さんが、完璧に仕上げてくれていました。気合も、気配も、跨ったときの感触も、間違いなく前走以上です。

――これで勝ち負けの競馬ができなかったら、それは騎手の責任だ。僕は自信を持ってレースに臨むことができました。2着馬との着差は1馬身4分の3。しかし、走っているときのリズムも、GOサインを出したときの反応の良さも、伸び脚も、すべて合格点。着差以上に内容的には完勝でした。

――距離が伸びて、どうなるのか? こればかりは、実際、レースに行ってみなければ分かりませんが、今日の競馬ができれば、距離は伸びても大丈夫です。暮れのG1へ。そして、新しい年に向けて、僕自身が一番、ワクワクしています。

■期待馬で海外レースに挑戦

 この勢いで今週は、今年4度目となる海外遠征で、世界を相手に真っ向から勝負を挑んできます。予定している騎乗馬は3頭。1頭はフランス遠征中のラルク。2頭目は、外傷のために「ジャックルマロワ賞」を回避したジェニアル。最後の1頭は、「凱旋門賞」に挑戦することが決まっているクリンチャー。挑むレースは、ラルクが、12日の「トゥーレル賞・リステッド競走」(芝2400メートル)。ジェニアルが、16日の「パン賞」(芝1400メートル)。クリンチャーが、「フォア賞」(芝2400メートル)。競馬場は、いずれもパリロンシャン競馬場です。

 タイプも、脚質も、このレースの重要性も(特にクリンチャーは、凱旋門賞の前哨戦なので)、それぞれ違う3頭ですが、騎手として僕にできるのは、持っている能力を出し切らせてあげること。チームジャパンの思いを、レースで見せることです。世界で勝負するのは、準備も含め、簡単なことではありません。そのチャンスをいただけたことに感謝し、思いに応えるために、最高の騎乗をしたいと思います。

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