武蔵川親方(元横綱・武蔵丸)
武蔵川親方(元横綱・武蔵丸)

 優勝回数12回。192センチ、240キロの巨体を生かした押し相撲を武器に、若貴兄弟と相対した横綱・武蔵丸。その風貌から「角界の西郷どん」のニックネームを持ち、2003年、現役引退後は部屋付き親方として後進の指導にあたり、13年、東京・江戸川区に武蔵川部屋を創設した。現在は18名の力士の育成に励む一方、元横綱の目線で、角界に厳しく提言するスポークスマンでもある。その武蔵川親方に、9日からスタートした秋場所の展望を語ってもらった。(取材・文/武田葉月 ノンフィクションライター)

――先の名古屋場所では、関脇・御嶽海(25)が初優勝。秋場所は大関獲りの場所になりますね。

武蔵川(以下、武)先場所は横綱、大関陣が、こぞって休場したからね。その中でチャンスをつかんだ面もあると思うけど、今場所も上位陣に休場者が出るか、出ないかで御嶽海の星勘定は変わってくるだろうね。問題は前半戦。押し相撲だから、前半で勝ち込んで波に乗っていけば、いい線いくんじゃないかと、俺は見てる。(大関昇進基準とされる3場所33勝まで)あと、11勝か? 今の勢いだと、11勝は固いんじゃない?

――一方、心配なのが、先場所まで8場所連続休場の稀勢の里(32)です。

武 稀勢の里ねぇ。「秋場所で進退をかける」つもりでいるんだと思うけど、焦っちゃダメだよ。ケガという意味では白鵬(33)も、だんだんケガが多くなってきたよね。(先場所途中休場の原因になった)右ヒザのケガだって、どこで痛めたのか分かんないし……。水がたまっているっていうけど、俺も同じくヒザを痛めたことはあったけど、(白鵬は)水がたまるような体じゃないと思うんだけどな(笑)。まあ、とにかく今の横綱、大関は休場しすぎ。それじゃあ、相撲を見にきてくれるお客さんにも失礼だよ。

――確かに、そうですね。御嶽海に続く若手として、豊山(24)、朝乃山(24)などの力士も台頭してきました。豊山は名古屋場所千秋楽で、初優勝を決めた御嶽海に熱戦の末、土をつけ、注目を浴びました。

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