■豊山、朝乃山などの若手力士も台頭

武 豊山、あの相撲はよかったけど、まだまだだな。体が大きいんだから(185センチ、181キロ)、相手を一発で持っていく気持ちで行かないと! 組んだら弱いんだから、押し相撲に徹してほしい。朝乃山も体が大きい(188センチ、165キロ)けど、相撲の途中で足がそろっちゃったりするんだよな。これから直すところはいっぱいある。

 俺が彼らより買ってるのは、貴景勝(22)だな。体全体で押していく相撲が魅力的だし、稽古をよくしている体だよ。ライバルの阿武咲(22)と比べても、貴景勝のほうが断然上だ。ガッツもあるし、ああいう相撲は見ていて面白いよ。

 あと、何を考えてるのか分からないのが、遠藤(27)。左四つが得意らしいけど、左四つなのか右四つなのか、相撲がハッキリしないんだよな。それでも相撲センスはあるんだろうけど、すぐケガするし、足腰も弱すぎるよ。ケガを治すなら休場して徹底的に治すとかしないと、取り返しのつかないことになる。CMとか出てる場合じゃないんだよ!

 逸ノ城(25)もそうなんだけど、とにかく、みんな稽古量が足りてないんだよ。

――稽古はウソをつかないということですね。

武 そうだよ! 俺がいた(以前の)武蔵川部屋は関取衆の人数が多かったということもあったけど、稽古時間も長かったし、厳しかった。しかも、稽古が休みの日は師匠(元横綱・三重ノ海)が決めていて、休みはほぼなかったよ(笑)。そんな中から、俺とか、大関の武双山、出島、雅山といった連中が出たんだよ。当時は、それが当然だと思っていたから、「休みたい」とか「つらい」なんて思いもなかったけどね。

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