体操・塚原夫妻だけじゃない! 東京オリンピックも黄信号!? スポーツ界「11人の首領」の画像
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 泥仕合の様相を呈してきた体操界の“パワハラ騒動”。一気に噴き出したスポーツ界の暗部を全部書く――!

「このままでは五輪に出られなくなるわよ、と言われました……」 リオデジャネイロ五輪・体操女子代表の宮川紗江選手(19)は、多くの報道陣を前に悲痛な面持ちでパワハラを告発した。連日、ワイドショーでも報じられているように、宮川選手にパワハラを行ったとされるのは、日本体操協会の副会長である塚原光男氏(70)と、その妻で女子強化本部長の塚原千恵子氏(71)である。宮川選手によると、塚原夫妻は彼女と元専属コーチ・蓮見佑斗氏を引き離したあげく、千恵子氏が監督を務める「朝日生命体操クラブ」に加入させようとしたという。いわゆる“引き抜き行為”で、それを宮川選手が断るや、冒頭の「五輪に出られなくなる」という趣旨の恫喝を繰り出したというのだ。これが事実なら完全なパワハラだが、2020年の東京五輪を目前に控えた今年、アマチュアスポーツ界では、こうした騒動が次々と勃発している。そこで本誌は今回、アマスポーツ界の主要競技について、“首領”の存在を徹底調査。以下、報告したい。

 まず、件の塚原夫妻だ。特に千恵子氏は体操の世界で“女帝”と呼ばれているほどの権力を持つという。「彼女が昔から、五輪で金メダルを取れそうな有力選手がいると、どんな手を使ってでも朝日生命体操クラブに加入するよう引き抜きをかけていたのは、有名な話です」(スポーツ紙記者)

 今回の宮川選手のケースでは、彼女の専属コーチの“暴力行為”を指摘、処分を下すことで始まった。ただ、被害者であるはずの宮川選手は、暴力を振るわれたことを認めつつ「指導の一環」と、これを否定している。「宮川選手の会見を見た千恵子氏は、“あれは全部デタラメ”と会見内容を全否定し、激昂していたようです。ところが、さまざまな報道が噴出し風向きが変わるや、事態の鎮静化を図り、宮川選手に謝罪しています。本当に自分が正しいと思うなら、なぜ態度を急変させたんでしょうか」(前同)

 18歳の少女の告発に、絶対的権力を握っていた女帝は全面降伏したのだ。だが、それだけでは終わらなかった。体操の元金メダリストの池谷幸雄はワイドショーで、「(塚原夫妻は)永久追放すべし」と発言。同じく金メダリストの森末慎二も、塚原夫妻の謝罪に対して、「はあ? という感じ」と嫌悪感を示した。さらに、美人体操選手として人気だった田中理恵選手もSNSで宮川選手にエールを送るなど、体操界のOBたちが積年の恨みとばかりに、塚原夫妻に“トドメ”を刺しにいったのだ。

 6日に発売された『週刊新潮』には、千恵子氏の反論インタビューが掲載されたが、同日発売の『週刊文春』は、“千恵子氏にも過去、暴力行為があった”とする告発記事を掲載。「千恵子氏が全権を握る朝日生命体操クラブも、岐路に立たされています。スポンサー会社が支援を打ち切る可能性を示唆しているからです」(夕刊紙記者)

 まさに、独裁者に対するクーデターが起こったわけだが、実は、この騒動の裏にはもう一つの闇がある。「千恵子さんのおかげで、日本の体操が強くなったのも事実なんです」と語るのは、ベテランのスポーツ紙デスクだ。「かつて日本の体操選手が20代中心だった頃、塚原さんはモントリオール五輪で当時14歳のコマネチの演技を見て、“これからの体操は10代が中心になる。もっと幼少期から育てなければならない”と感じ取り、当時所属していた日体大を飛び出したんです」(前同)

 先見の明があった塚原氏はその後、朝日生命で若手の育成に注力し、見事、金メダリストを輩出した。「これをずっと面白く思っていなかったのが、日体大の体操部です。実際、この騒動で塚原氏を非難している池谷も森末も日体大出身。もっと言えば、宮川選手の元専属コーチである速見さんも、日体大のエースで日体大の現学長、そして体操協会の副会長でもある具志堅幸司さんの教え子なんですよね」(前同) つまり、一連の騒動は「首領の座をめぐる日体大派閥との熾烈な争い」とみることもできるというのだ。

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