■野球や陸上、柔道も!「アマスポーツ界の首領」たち
【柔道】山下泰裕会長(全日本柔道連盟)/柔道界はこれまで、全柔連と講道館の“二重権力”構造で支配されてきたとされる。現在の山下会長は篤実な人柄であるが、2009~2013年まで会長を務めた上村春樹氏の治世には、選手へのパワハラやセクハラ、理事による金銭の横領など、おびただしい醜聞が噴出した。上村氏は会長時に講道館館長(現在も同職)も兼任していたことから、権力の集中が指摘された。
【陸上】横川浩会長(日本陸上競技連盟)/現会長は元通産官僚。陸連会長ポストは天下りが多く、そのために真の改革ができず、“陸上村”化してしまっているとされる。こうした体質には、青山学院大学を箱根マラソン初優勝に導いた原晋監督も警鐘を鳴らしている。五輪のマラソン代表選出のたびに、“不透明な選考基準”が指摘されるのはご存じの通り。天下りトップの慣習を見直す必要があるか。
【野球】八田英二会長(日本高等学校野球連盟)/奮投した金足農業の吉田輝星投手の「巨人に行きたい」発言に、厳重注意を行ったとする高野連。ただ、高野連会長は権力者ではなく名誉職だという。高校野球の場合、首領は他にいる。ベテラン記者によれば、「首領は各高校の野球部監督やOB会長。彼らが絶対権力者であるケースが多く、懇意の大学野球部などに、有力選手を斡旋する」のだという。
【アメフト】内田正人前監督(日大フェニックス)/アメリカンフットボールの大学リーグは、関東と関西の学生アメフト連盟があり、両組織が東西大学のアメフト部を管轄する。悪質タックル事件で耳目を集めた日大アメフト部は、“東の日大、西の関学”と呼ばれる強豪だったことから、同部を率いていた内田監督は、日大のみならずアメフト界の実力者だった。監督職は辞任するも、日大の要職には留まる。
【ラグビー】森喜朗名誉会長(日本ラグビーフットボール協会)/早大時代にラグビー部に所属していたという森元首相は、日本ラグビー界の首領として公然と権力を行使している。その象徴が新国立競技場をめぐる騒動。新規改修工事が進む競技場は、森元首相の鶴の一声で、2020年の東京五輪ではなく、1年早い19年のラグビーW杯の会場に使用すると方針転換されたため(後に撤回)、トラブルが頻発したという。