佐藤健
佐藤健

 いよいよ連続テレビ小説半分、青い。』が最終回を迎える。半年にわたる放送の中で、ヒロインの鈴愛(永野芽郁/19)が漫画家、発明家と2つの職業を経験(途中、五平餅も焼いていたが)したり、幼なじみの律(佐藤健/29)が運命の人として描かれていたりと、朝ドラの中でもかなりの異色作だった。とうとう大団円を迎えるわけだが、今、私を“ダメ男ロス”が襲おうとしている。それはどういうことか? 9月22日の放送を振り返り、説明してみよう。

 鈴愛と律の会社、スパロウリズムは2011年、ついに新発想の扇風機、そよ風ファンを完成させる。津曲(有田哲平/47)はその設計データを盗んでしまうが、その後、改心してスパロウリズムに協力することになる。そして、そよ風ファンのプレゼン用動画のため、鈴愛は元夫で映画監督の涼次(間宮祥太朗/25)に動画制作を依頼することになり、久しぶりの再会を果たすという展開だった。

 この回で印象的だったのは、土下座する涼次に対して鈴愛がつぶやいた「涼ちゃん、売れて良かったね」というセリフだ。このひと言には夢を追いかけるという理由で自分を捨てたダメ夫への、切なさがあふれていた。それと同時に、今だからこそ鈴愛が涼次にかけられる、精一杯の言葉だったのではないだろうか。

 この涼次をはじめ、『半分、青い。』にはダメ男が実に多かった。そよ風ファンを盗もうとした津曲、鈴愛に求愛され思わず突き飛ばしてしまった正人(中村倫也/31)と、さまざまなダメ男たちがドラマを彩っていたのだ。準主役だった律も、数年ぶりに会った鈴愛にいきなりプロポーズしたり、家族への愛情の注ぎ方が分からず悩んだりと、実はなかなか不器用なダメ男。『半分、青い。』は鈴愛を取り巻く、情けない男たちのドラマであったといえるのだ。

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