■今度の『バキ』シリーズは相撲

板垣 みんな、そういうこと言うんだよね。自分が洞察力があるって思われたいのかね? 俺もこの仕事していて、ヒゲ剃らないでお店とか行くと、絶対言われるもん。「疲れた顔してますよね」って。大きなお世話だよ(笑)。だから俺は外に行くときは、必ずオシャレしていようって決めてる。

山中 そういう意味では現役感って大切ですよね。だから、僕も動き続けないと、と思っています。最低でも毎日のロードワーク。それが、これから何をするにしても、今後につながっていくはずですから。

板垣 男はさ、何歳になっても現役でいることが大切だよ。日常から支持者(ファン)の視線を意識する。いきなりオシャレしようとか、体重を落とそうとか、モテようとか、女の子と接触しようったって難しいからね。あ、あと忘れちゃいけないのが、奥さんや家族には優しく(笑)!

山中 現役でいること……、いろいろな意味で大切ですよね。そういえば、現役バリバリの漫画家である板垣先生は、新しい『バキ』シリーズの連載が、もうすぐ始まるんですよね。この間が相手が剣豪の宮本武蔵でしたが、今回は?

板垣 今度は相撲。相撲の神様である野見宿禰の2代目が相手なんだ。

山中 なぜ相撲を題材に?

板垣 以前ね、朝青龍と握手したときがあるんだよ。彼の手は、俺がそれまでに出会った空手や総合の選手と比べても、どの選手よりも手がぶ厚かったんだ。俺の手なんか、すぐにプチッと潰されてしまいそうな、本当にすごい手をしていて……。ひょっとしたら、相撲は凄ぇんじゃねぇか!? って思ったんだ。どんなスポーツを観ても、人間が全力で動けるのは10秒くらい。相撲はまさに、その10秒のぶつかり合いなんだよね。たとえば、いかなるスポーツ選手や格闘技選手でも、朝青龍とか白鵬クラスの一流の相撲取りと向き合って10秒間、全力で戦うルールなら、誰も勝てないし、止められないのではないだろうか。結局、勝つには1分か2分逃げ回って、息が上がったところを狙うしかない。

山中 確かに。そういう5秒、10秒で、まともにぶつかり合うルールで戦うなら、相撲取りは最強かもしれないですね。

板垣 ましてや彼らをタックルで倒すなんて、不可能だと思う。彼らの10秒は止めることはできない。絶対に無理だよ。新連載では、そんな10秒を濃密に描いてみたいと思っているんだ。

山中 もう、話を聞いているだけで期待が膨らんでいきます。

板垣 うん、楽しみにしててよ。絶対、面白いから。

漫画家 板垣恵介(いたがき・けいすけ)1957年4月4日、北海道生まれ。陸上自衛隊入隊後、病による入院を機に除隊。91年、人気格闘漫画『グラップラー刃牙』が連載開始。『バキ』『範馬刃牙』『刃牙道』とシリーズを重ね、累計発行部数7500万部突破。TVアニメ『バキ』がNETFLIXにて先行配信、TOKYO MX1他にて放送中。10月4日より『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)で『バキ』シリーズの新作『バキ道』が連載開始。『新装版バキ』第13、14巻が10月5日に発売。

元プロボクサー 山中慎介(やまなか・しんすけ)1982年10月11日、滋賀県生まれ。専修大学時代はボクシング部の主将を務め、卒業後、「帝拳ジム」に所属。2010年、第65代日本バンタム級王者に。プロ入り後、無敗のまま、11年に、第29代WBC世界バンタム級王者となる。その後、12度の防衛に成功し、18年3月に引退を発表。

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