■苦悩する西郷隆盛に注目したい!

 それはズバリ、『西郷どん』が世間の人たちが抱いてきた西郷隆盛のイメージを、打ち破ろうとしているからではないだろうか。これまでも鈴木亮平が演じる西郷吉之助は、月照(尾上菊之助/41)と入水後に自分だけ生き残ったことを思い悩んだり、二度の島流しで自暴自棄になるなど、人間の弱さを見せてきた。この弱さや物悲しさこそ、『西郷どん』が描く西郷隆盛の特徴なのだ。

 『西郷どん』は吉之助に、苦悩や悲しみに満ちた表情を連発させてきた。そのことで従来の西郷隆盛のイメージを壊し、より人間味を感じられるキャラクターを作り上げたのだ。西郷隆盛を主人公にしながらただの英雄譚で終わらず、西郷や周囲の人々のさまざまな苦悩、葛藤を描くことこそ『西郷どん』のメインテーマなのである。

 ネタバレを覚悟でいうならば、これから明治六年の政変で西郷隆盛は明治政府から退いて下野し、薩摩に戻る。さらに、西南戦争で西郷は新政府軍と衝突する士族軍の総大将になるが、破れたあげく、最後は自決に追い込まれてしまう。つまり「明治編」はこのドラマの主人公、西郷隆盛にとって、敗北の連続となるのだ。鈴木亮平が演じる西郷どんが、この苦しくつらい運命をどのように受け止め、どんな表情を見せるか、それがこれから最終回へ向けての注目ポイントだろう。これまで以上に哀愁が漂う、鈴木亮平の演技に期待したい。(ドラマライター・半澤則吉)

あわせて読む:
・宮崎あおい主演『篤姫』は第3位! 過去20年放送の大河で一番好きだったのは?
・小栗旬がインスタ降臨! 賀来賢人とのツーショットに「たまらん」と反響
・柄本佑&柄本時生「そっくりすぎる兄弟俳優」どっちがどっち?見分ける方法

  1. 1
  2. 2