■大学生に4人の有望株

 そんな状況もあって、各球団は即戦力投手を優先してリストアップ。今年は大学生に4人の有望株がおり、「1位指名が集中しそう」(前同)なのだという。中でも、今年度のナンバーワン投手との呼び声も高いのが松本航(日体大)。もともと松本は、高校時代からプロの注目を集めた逸材。今年は大学日本代表のエースとして活躍し、国際大会で2度、最優秀投手を獲得している。「MAX155キロの速球はもちろん、5種類の変化球は、どれでも勝負できるほどレベルが高い。そして、最大の持ち味はコントロールの良さ。大崩れはしないでしょう」(プロスカウト)

 そんな松本に匹敵する実力を持つ、残り3人の有望株は、全員が同じ大学のチームメイト。東洋大の“150キロトリオ”上茶谷大河、甲斐野央、梅津晃大だ。「今年3月、東洋大と楽天2軍とのオープン戦で、この3人が全員登板。それぞれ150キロ超えのストレートをビシビシ投げ込み、プロの打線を相手に0封。スカウト陣も、楽天首脳陣も絶賛の嵐でした」(スポーツ紙記者)

 まずはMAX151キロの上茶谷。1試合20奪三振をマークしたこともある“ドクターK”で、「スプリットのキレが抜群。先発投手として完成度が高く、安定感もある」(前出のプロスカウト)

 先発ローテ入りも十分期待できる即戦力投手だが、「4年生になってから急激に才能が開花」(前出の持木編集長)しただけに、成長も期待できそうだ。

 続くはMAX153キロの梅津。チームでは上茶谷に続く先発2番手で、実績も物足りないが、将来性では他の2人をもしのぐ存在だと評価されている。「187センチから投げ下ろす、スケールの大きいピッチングが魅力的。まだ荒削りですが、ポテンシャルは計り知れない。大化けしそうなタイプですね。球速は、さらに上がるでしょう」(プロスカウト)

 そして3人の中で最速を誇る甲斐野は、なんとMAX159キロ。チームのクローザーとして活躍し、大学日本代表でも守護神を任された。U-18アジア選手権の壮行試合では、高校日本代表の“ドラ1候補”たちをピシャリと抑え、格の違いを見せつけている。「力のある速球も、落差の大きいフォークも一級品。東洋大3人衆の中でも、完成度は一番でしょう。今は抑えですが、先発でもいけそうですね」(前同)

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