台風24号が近づき、朝から荒れ模様だった9月29日の阪神競馬10Rで、節目となるJRA通算4000勝を達成しました。マジック3で迎えた当日、3Rのエイティーンガールで、まず1勝。5R2歳新馬戦、キーファーズ代表・松島オーナーの馬で、名づけ親が木梨憲武さんというゴータイミングで勝ってリーチ。記念となる4000個目の勝利は10Rの芦屋川特別、父の時代からずっとお世話になっているメイショウ・松本好雄オーナーの馬、メイショウカズヒメとともに挙げた1勝でした。

――今の気持ちは? 金屏風の前で、たくさんの記者の方に聞かれましたが、とてもひと言では言い表せません。デビュー当時、まさか、これだけ勝てるとは夢にも思っていなかったというのも本音だし、数字を意識したことはないというのも嘘じゃない。うれしさもあるし、ホッとしたという気持ちもある。とにかく目の前のレースを一つ一つ、大事に乗ってきた結果が、この数字であり、この間、数多くの人に支えられ、数多くの馬に恵まれて、ここまで来られたという感謝の気持ちが、僕の心の大半を占めています。

――思い出に残っているレースは? きっと皆さんが期待していたのは、オグリキャップ、ディープインパクト、キタサンブラック……他にもたくさんいる、記憶にも記録にも残る名馬の名前なんだろうなと思います。皆さんと同じように、僕の中でも、その一頭一頭は、忘れることのできない相棒だし、走りから息遣いまで、今でも鮮明に覚えています。でも、どの馬が1番で、どの馬が2番……という順番づけをしたことは、これまでもないし、これからもありません。一度しか勝たせてあげられなかった馬も、何度も勝たせてもらった馬も、1勝は1勝。同じだけの人が携わり、同じだけの夢を背負って懸命に走っています。僕は最後に、そのバトンを受け取る者として、自分に与えられた仕事に最善を尽くすだけです。

 そんな中、一つ、すごくうれしかったのは、束の間、雨の上がった表彰式で、ともに戦っている仲間たちがおそろいのキャップとTシャツで祝ってくれた4000勝のセレモニーです。あの光景は今まで僕が見てきたたくさんの景色の中でも、格別なものになりました。

 一番見てほしかった父や、師匠の武田作十郎先生に見ていただけなかったのは、ちょっと寂しいですけど、でも、もしも2人が、あの場にいたら、――ユタカ、よくやった! と、手を叩いて喜んでくれたと思います。

――次に目指すのは5000勝!? いえ、次は4001勝。その次は4002勝です。昨日より今日、今日より明日。少しでもうまくなれるように。みんなから愛されるジョッキーになれるように、騎乗機会をいただいたすべてのレースで、120%の武豊を目指します。皆さん、今年の秋は、競馬場でお会いしましょう!

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