■日馬富士の暴行事件以降、協会内でいじめ状態

「内閣府に提出した告発状を事実無根と認めるか、廃業か。その二択を迫られ、苦渋の決断で引退を選んだというのが貴乃花の主張ですが、協会への“遺恨”はまったく消えていません。16年の理事長選出馬の際も、行動や発言を制御され、嫌がらせを受けたようでした。日馬富士による暴行事件以降も協会内で“いじめ状態”だったといいますから、貴乃花が政治家に転進することで、反撃に出てもおかしくありません」(前出の後援会関係者)

 だが、政界進出は協会への復讐が狙いではない。

「引退会見で“協会と闘うつもりはない”と宣言した通り、貴乃花は闘うのではなく、ともに相撲を良くすることが真の目的だといいます。公正公平な角界にするために、一門を飛び出してまで理事になり、理事長選にも挑戦したわけです。ただ、協会内からの改革は失敗に終わった。しかし、政界から“議員になれば、協会の外から角界を改善できる”と説得され、貴乃花は政治家として相撲界の抜本的改革に乗り出そうと考えているのでは」(前同)

 一方、貴乃花が協会を去ったことで、伏魔殿・角界にはびこる“八百長疑惑”を懸念する声は、いっそう増している。あるベテラン相撲記者は、こう語る。

「秋場所では、白鵬が全勝優勝後に右ひざを骨折。体調が万全でないのに優勝できるとは……という辛辣な声も、関係者からは上がっています。貴乃花が角界を引退し、モンゴル互助会に異を唱える人がいなくなることで、この傾向に拍車がかかることが心配です」

 ガチンコ相撲を貫いた貴乃花にとって、この角界の危機的状況は看過できないものだろう。

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