鈴木亮平(35)が西郷隆盛を演じる大河ドラマ『西郷どん』(NHK)は、明治編に入りドラマの雰囲気も一新された。今まではこれぞ大河ドラマといった戦闘シーンが連発されるコテコテの時代劇だったが、章が変わって多くの登場人物が洋装に変身。気品高い、新時代の明治を見事に描写している。ここでは10月28日の放送を振り返り、明治編で注目すべきポイントをチェックしたい。
大久保利通(瑛太/35)と岩倉具視(笑福亭鶴瓶/66)たちは薩摩の国父、島津久光(青木崇高/38)に上京を要請した。久光は大久保に怒りをあらわすが、大久保はあくまで政府の意見を貫こうとする。それは廃藩置県を断行するという思いからのものだった。一方で新政府に協力するため上京した西郷隆盛は、政府直属の軍隊、御親兵を設立する。しかし、新政府は熾烈な勢力争いの真っ只中。豪華な食事を共にする一方、国の基盤作りは少しも前に進まず、元長州藩の木戸孝允(玉山鉄二/38)ら各藩出身の実力者たちがにらみ合うばかり。隆盛が望んだ、新しい日本とはまるで違っていた。
できたばかりの政府がうまくまとまらない様子を、隆盛の目線で描いていて、とても面白い回だった。今回、隆盛たちと対立していたのは、元佐賀藩の大隈重信(尾上寛之/33)に江藤新平(迫田孝也/41)、元土佐藩の板垣退助(渋川清彦/44)に後藤象二郎(瀬川亮/40)という、歴史の教科書にその名が記される有名人ばかりだ。薩長の対立が中心に描かれた革命編では名前が出てこなかった彼らも、今後も登場シーンが増えて注目を浴びそうだ。
だが、今後もっとも注目したい明治の偉人は、村上新悟(43)が演じる山県有朋だ。というのも、山県有朋は西郷隆盛と深いつながりを持つ人物なのである。
長州藩士で松下村塾出身の山県有朋は高杉晋作が作った奇兵隊で存在感を示し、戊辰戦争でも活躍した人物で、明治政府でも軍の実権を握っていく。その後ろ盾となり力を貸したのが西郷隆盛だったのだが、西南戦争では政府軍の指揮官として西郷と対峙することになってしまう。西南戦争では、西郷隆盛VS盟友・大久保利通という構図が有名だが、西郷隆盛VS山県有朋も、『西郷どん』で大きな見せ場となることは間違いない。
また、山県有朋を演じるのが、2016年の『真田丸』で直江兼続を演じた村上新悟ということでも、話題になっている。脂の乗ってきたこの演技派俳優は、近年、とかく時代劇に定評があり、大河だけでもこれまで5作も出演しているという実績を持つ。イケボと評される低く美しい声でどう山県有朋を演じるのか、そしてどうやって西郷とぶつかっていくのか、次週以降、ぜひ注目していきたい!(ドラマライター・半澤則吉)
※画像はNHK『西郷どん』公式ホームページより