がんや認知症、突然死も…「糖尿病」予防と実態の画像
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 さまざまな合併症を引き起こす糖尿病。放置すると、脚の切断、失明の危険も。予防法を学ぶべし!

 秋の健診シーズンも真っ盛り。すでに“成績表”をもらった方もいるだろうが、特に気をつけなくてはならないのが、空腹時血糖値やヘモグロビンA1cなどの「血糖値」の項目だ。40歳以上を対象にした特定健診を受けた本誌記者も血糖値が〈要検査〉だったが、「尿に糖が混じるだけだろ」なんて甘く考えると、後々、とんでもないしっぺ返しを食らうようだ。

 血糖値が高い状態が続くと糖尿病になる。これは皆さんもご存じだろうが、糖尿病の怖さは、血中の糖が全身の血管をむしばんで動脈硬化を進行させることにある。動脈硬化で大きなダメージを受けるのは、細かい血管が張り巡らされた腎臓や目(網膜)などだ。腎臓の血管が動脈硬化で機能低下すると、週に何回かの人工透析が必要になる。また、網膜にダメージを受けると、最悪の場合、失明に至ることもある。

 糖尿病の三大合併症は、この腎臓と網膜、そして神経にくるのだが、神経が冒されると、最初は足先にピリピリ、ジンジンとした痛みやしびれがある。やがて感覚が鈍くなるなどして、やけどやケガにも気づきにくくなる。これに動脈硬化で血流が悪くなっていると、細菌感染を起こしやすくなり、脚の切断といった悲惨なことにもなる。

 糖尿病になると男性機能が悪くなる――これは本誌読者の皆さんならご存じだろうが、動脈硬化による血流低下と神経が冒されることが原因。『メンズサポートクリニック』の葉山芳貴院長によると、「血流の低下だけなら治療薬でどうにか改善できるが、神経を冒されると治療薬がほとんど効かなくなる」と言う。「ED治療は、まず糖尿病を改善することがポイントになります」(前同)

 糖尿病の弊害は、まだまだある。免疫力が低下するため、がんのリスクが高くなり、歯周病やインフルエンザや肺炎などにもかかりやすい。さらに、糖尿病で動脈硬化が進むと、血管に糖と脂質のヘドロ(プラーク)が溜まり、脳卒中や心筋梗塞などの突然死のリスクもグンと跳ね上がる。

 糖尿病の怖さは、最初はほとんど自覚症状がないまま、じわじわと全身の血管をむしばみ、やがて全身にさまざまな症状が出てくることにある。糖尿病は、まさに万病の元とも言える病気なのである。

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