「本当に怖い前立腺がん」50代患者急増中で今後、罹患数トップに!?の画像
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 高齢者のみの病気だったのは20年前。食生活の変化で、50代の患者も増加中。正しい知識をつけて、対処すべし!

 前立腺は、膀胱のすぐ下にあるクルミ大の臓器。若い頃は“快感のタネ”でもあったのだが、年を取ると、これが“悩みのタネ”になる。排尿障害を招く前立腺肥大症はもちろん、場合によっては、がん細胞が巣くうこともあるからだ。特に前立腺がんは20年前に比べ、患者数が3倍近く増えている。国立がん研究センターによる2014年の男性のがん罹患数で、前立腺がんは胃、肺、大腸に続き4位だが、専門家は「今後数年で、大腸と肺、胃がんを抜いてトップになる」と予測している。

 日本大学医学部附属板橋病院副院長の高橋悟・泌尿器科学系主任教授が、次のように説明する。「前立腺がんは50代から急増し、年齢とともに罹患率が高くなる傾向があります。高齢化が進んだことと、脂質が多い欧米型の食生活になったことが大きな原因とされています」

 救いは、他のがんと比べて進行がゆっくりで、治療後の5年生存率も98%と高いことだが、これも油断はできない。初期の段階で治療すれば5年生存率は100%に近いが、転移して病期(ステージ)が上がると、治癒率は60%台にガクンと下がってしまう。実際、国立がん研究センターでは、今年、前立腺がんで1万2000人以上が命を落とすと推計している。

「前立腺がんは初期の頃は、ほとんど自覚症状がありません。この段階で発見するためにはPSAというスクリーニング検査を受けることが必要。50歳を過ぎたら定期的にPSA検査を受け、早期発見をすることが大切です」(前同)

 PSA検査は特定健康診査のオプションにしている自治体も多く、たとえば、世田谷区では600円の自己負担で受けられる。PSA検査で「がんの疑いあり」とされると、MRI(ドーム型の医療検査機)や患部の細胞を直接採取する生検へと進む。これで進行性が高い悪性がんと診断されると、治療へ移る。

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