■進行が遅い前立腺がんならではの選択も

 治療法は大きく三つある。摘出手術と放射線治療、そしてホルモン療法である。また、進行がんの場合は抗がん剤治療が出てくる。ここまでは他のがんと大差ないが、前立腺がんの場合、もう一つ、経過観察という選択がある。PSA検査を受けながら様子を見る方法で、進行が遅い前立腺がんならではの選択と言える。

「前立腺がんは治療の選択肢が多いこともあり、“先生にお任せします”という患者さんも少なからずいらっしゃいます。しかし、自分の体ですから、自分に合った後悔しない選択をすることが大切です」(同)

 昨年2月、前立腺がんで全摘手術を受けたA氏(65・飲食店経営)は、「医師任せにしたことを今になって後悔している」という。異変があったのは一昨年11月。尿が出にくくなり、やっと出ても血が混じり、ピンクになっていた。かかりつけの医院に行くと専門病院(国が組織する『がん診療連携拠点病院』)で検査することを勧められた。

 前立腺肥大症でも尿が出にくくなるが、血が混じるのは前立腺がんに多い。江東区にある、がん専門病院でMRIや生検を受けると、「骨までは転移していないが、リンパまで達している前立腺がん」と診断された。「どんな治療を受けたいか、医師から説明を受けたんだけど、分からなくてね。“早く治したい。摘出手術でもかまいません”と答えたんです」(前出のA氏)

 その専門病院では手術の予定が詰まっていたので、別の病院で手術を受けることになった。開腹手術で、1週間ほどで退院できた。「手術後に、しばらくは尿漏れすることもあると説明されていたんだけど、術後1年半たつのに、いまだに1日に4回もおむつを替えないといけない。尿の臭いが気になるし、糖尿病のせいでおむつがベタベタになるから気持ち悪いよ」(同)

 医師にEDになる可能性もあると説明はされていたが、「“亀の子”状態でね。手術前は現役だったので、とてもショックだった」(前同)

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