矢沢永吉と長渕剛、反逆の二大カリスマ「男気感動秘話」栄光と挫折の画像
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 世代を超えた多くのファンから熱狂的支持を集め続ける“二大アーティスト”。不屈の闘争心と壮絶な生き様に瞠目!

 今年9月に69歳にして東京ドーム公演を行い、5万人ものファンを集めた“ロック界の帝王”矢沢永吉。「矢沢ファミリー」と呼ばれる熱狂的ファンの多さで知られるが、それに匹敵するファンを持つアーティストというと、2015年の富士山麓オールナイトコンサートで10万人を集めた長渕剛が挙げられる。両アーティストともに“男の中の男”というイメージだが、比べてみると、かなり方向性は違うのだ。

 矢沢ファンは、1978年発行の自伝『成りあがり』の影響を今なお語る。横浜でレストランを営む田辺敏さん(55)は、10代の頃に読み、「小さくてもいいから一国一城の主になろう」と決意したという。取材をして分かったのは、田辺さんのように、矢沢のハングリー精神に影響を受けて独立したという自営業者のファンが非常に多いことだ。また、運送業を営む板橋充典さん(57)は、矢沢の魅力を「ブレない。群れない。嘘つかない」と絶賛する。『成りあがり』の頃から軸がブレない矢沢の生き方を、多くのファンが人生の指針としていることは、拙著『1億2000万人の矢沢永吉論』(双葉社刊)に詳述してある。

 一方、長渕ファン歴32年の荒井カオルさん(41)は、その魅力をこう語る。「彼は喜怒哀楽のうち、『怒』と『哀』を徹底的に歌い込む。負のエネルギーを、人生の荒波を生き抜くポジティブな力に転化してくれるんです」

 彼の生き様は、「東京というアスファルトジャングルへ向けた“田舎者の逆襲”」(荒井さん)なのだという。自身の経験を私小説作家のように歌に落とし込む長渕の曲が、人生の応援歌になっているのだ。

 矢沢ファンの応援というと、永ちゃんコール、タオル投げ、白スーツなどの伝統的スタイルが知られているが、長渕ファンの応援も負けてはいない。ライブは何千回も拳を突き上げる出稽古の様相を呈し、『勇次』という曲で一斉にクラッカーを鳴らすことが伝統になっている。ファンの熱量において両者は、まさに日本を代表するカリスマなのである。

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