■50代になったら、そろそろ
塩地 私の母親も最初は同じように嫌がっていました。まだまだ私は元気よ、と。だけど、逆なんです。元気なうちに、書いてほしいんです。
――どうしてですか?
塩地 病気になって、本当に危なくなってから、“遺産はどうするの?”と聞くのは、けっこうキツいんです。
――確かに……。まるで遺産目当てで、遺書を書かせている気分になりますね。
塩地 そうなんです。もっと言えば、なるべく早い時期に書いたほうがいいんです。私としては50代になったら、そろそろ書き始めたほうがいいと思いますね。
――そんなに早くから!?
塩地 はい。というのも、高齢になればなるほど、若い頃の思い出が思い出せないんです。たとえば、70代の方に、10代の頃にお世話になった人やよく遊んだ友達を聞いても、かなり記憶が薄れていて、曖昧な部分も多くなるんです。
――自分の葬式のとき、青春時代の親友なんかが来てくれたら、うれしいかもなぁ。
塩地 そうですよね。私が終活カウンセラーを目指したキッカケもまさにソレで、3年前、父親が亡くなったんですね。でも、私は父親の生前の交友関係もほとんど知らなかったので、お葬式に誰を呼べばいいのかも分からない。好きな花も聞いていなかったら、どんなお花を用意してあげればいいのかも分からなかった。そのときの後悔があって、終活の大切さを伝えていきたいと思ったんですね。
――塩地さんの話を聞いて、自分もエンディングノートを書いてみようと思いました。
塩地 良かったです。けっして縁起の悪い物ではなく、自分の人生を充実させるためのノートと思って、書いてもらえるとうれしいです。