クリストフ・ルメール騎手がJRA年間200勝を達成しました。2015年にJRAの騎手免許試験に合格。1年目は112勝、2年目が186勝、3年目に199勝を挙げ、ついに今年、200勝の大台に乗せました。競馬にあまり興味のない方にとっては、――ふーん。200ねぇ。という感覚かもしれません。しかし、プロ野球でいえば4割打者にも匹敵するこの数字が、いかにすごい数字で、いかに大変なことか、それが分かるだけに、どれだけ“おめでとう!”と言っても足りません。

 僕が、この前人未到の年間200勝を初めて達成したのは03年でした。G1勝利はフェブラリーSのゴールドアリュールと、エリザベス女王杯を勝ったアドマイヤグルーヴの2つ。9月20、21日の競馬で7勝を挙げ、145勝をマーク。それでもこの時点では、――もし200勝できたら、すごいな。というくらいにしか思っていませんでした。それだけ競馬は難しいし、1つ勝つことの大変さを知っていたからです。実際、それまで僕が持っていたJRA年間最多勝178勝の記録更新を狙った2003年11月8、9日はわずか2勝。現実は甘くないと思い知らされる2日間になりました。

 夢の200勝が現実のものとして見えてきたのは、12月に入ってからだったような気がします。6、7日の阪神でブラックタイドの新馬を含め4勝。13、14日はキングカメハメハでのエリカ賞などで同じく4勝。20日は1勝もできませんでしたが、翌21日にファインモーションでの阪神牝馬Sをはじめ3勝。この勝利でマジック1として、27日阪神1Rで、ついに夢の数字にたどり着くことができました。

 結局、この年は204勝を挙げ、翌04年が211勝。05年に1つ更新して212勝。現在は、この数字がJRA年間最多勝記録となっています。200勝を達成したクリストフが次に狙うのは、この数字です。

――破ってほしくない? それはありません。通算4000勝もそうですが、いつか必ず破る騎手が現れるはずだし、もし、いつまでも破られないとすれば、競馬に未来はありません。今年、クリストフが記録を更新したら、今度は僕を含めて他の騎手が、それを破るために努力すればいいし、結果として今年更新できなかったら、また来年、挑めばいい。そうやって、みんなが切磋琢磨することで、さらに面白い競馬を皆さんにお見せすることができるのだと思います。

■今週はG1朝日杯フューチュリティステークス!

 今年のG1レースも今週末の朝日杯FSを含めて残すところ、あと3つ。まだ一度も手にしたことのない勲章を狙う僕のパートナーは、デビューから3戦3勝のファンタジスト。1戦ごとに力をつけていて、G1の舞台でも十分に通用する能力を持っています。平成最後となる朝日杯FS……皆さんと一緒に祝杯をあげられるように頑張ります。

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