黒木華
黒木華

 明治維新から150年という記念の年ということもあり、盛り上がりを見せた2018年の大河ドラマ西郷どん』(NHK)が、いよいよ最終回を迎える。主演の鈴木亮平(35)は、もはや西郷隆盛にシンクロしたような見事な演技で、1年間見るものを魅了し続けてきた。けれどこのドラマを支えたのは、鈴木の演技だけではない。注目したいのは、むしろ彼を支えた女性たちの演技だ。12月9日の放送を振り返りながら、『西郷どん』の女性キャストについて考えてみたい。

 士族の窮状を政府に訴えるべく、西郷隆盛は東京へ向かう。これに対し大久保利通(瑛太/35)は西郷たちに“賊軍”の汚名を着せ、もはや戦闘が避けられない状況に。そして西南戦争が始まり、激しい戦いの中で西郷隆盛の弟、小兵衛(上川周作/25)が戦死。息子である菊次郎(今井悠貴/19)も負傷するなど、西郷軍は敗走を続ける。そんな折、久武(井戸田潤/46)が西郷家を訪れて戦況を伝えると、妻の糸(黒木華/28)は西郷に会いたいと願い出る。糸が追い詰められた西郷たちの陣地を訪れると、西郷は自分の覚悟を糸に語り始め……。

 戦闘シーンも迫力があったが、「だんなさあが、西郷隆盛じゃなかったらどんなに良かったか」と、西郷に愛情を伝える糸の姿にグッときた。ツイッター上でも「黒木華さんの演技、光ってますね」「もう主役でいいんでないかい?」など、絶賛の声が相次いだ。『西郷どん』は激しい戦闘シーンやいかつい男たちの熱いやりとりも見どころだったが、家族ドラマ、もっというと「愛」を描いたドラマとしても優秀だった。この緩急のバランスが『西郷どん』の面白さだったとも、言えるのだ。西郷たちを見守った女性たちの描き方が実に丁寧であり、その配役も見事だったことは、最終回を前にあらためて振り返っておくべきだろう。

 なにしろ西郷隆盛の妻3人が、そもそもすごいメンツなのだ。まず最初に結婚してすぐに別れてしまった橋本愛(22)が演じる須賀は、いきなりニュースになっている。出演はわずかながら、彼女の美しさと不器用な西郷への気持ちが「切ない」と、反響を呼んだのだ。

  1. 1
  2. 2