■『西郷どん』二階堂ふみが見せた新境地の演技

 西郷が流された島で恋に落ち、2人目の妻となった愛加那を演じた二階堂ふみ(24)も、その怪演が話題になった。鈴木亮平をして「感性のバケモノ」といわしめるほど、二階堂の演技は見事だったようで、2人が海で抱き合いながら別れを決意するシーンは『西郷どん』名場面のトップ5に入る。艶やかさがあふれる愛加那は、演技派として知られる二階堂の新境地に思えた。

 そして3人目の妻が、前述の黒木華だ。黒木が登場すると、今回のように涙を誘うことが多く、殺伐とした雰囲気を一変させる不思議な力を持っていた。『西郷どん』で女優、黒木華の評価がさらに高まったのは、間違いないだろう。妻が3人いた、という史実あっての配役ではあるが、この豪華で的確な3人のキャスティングが、『西郷どん』を支えていたと言っても過言ではない。

 その糸とも涙の別れをした西郷隆盛も、最終回ではついに華々しく散る。西郷の最期の姿を見ながら、妻となった3人の女性を思い出してみてもいいだろう。(ドラマライター・半澤則吉)

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