クロちゃん(安田大サーカス)
クロちゃん(安田大サーカス)

 2018年12月26日の『水曜日のダウンタウン』(TBS系)でフィナーレを迎えた、クロちゃんが参加する人気企画『モンスターハウス』。ウソをつきまくるクロちゃんの人間性が毎回話題となり、最終話でもツイッターのトレンドで「クロちゃん」は世界1位となる瞬間もあった。

 2018年、もっとも注目を集めた芸人といっても過言ではないクロちゃん。現在発売中の『EX大衆』1月号ではクロちゃんをよく知る安田大サーカスの団長安田が登場。「クロちゃんという“スター”」について語った。

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 いまのアイツは、スーパースターですよね。見ての通りクズなんですけど(笑)、でも、それでも結成当初よりはだいぶ見れるクズになったかなとは思います。昔はネタの覚えも悪かった。クロちゃんだけじゃなくてHIROもそうだったんですけど、2人とも普通にネタをノートに書いてもまったく覚えられない。だから、それぞれのセリフだけ単語帳に書いてそれだけ覚えてこいって言ってましたから。でもそれだと、ほかの人のセリフは覚えられないから、言うタイミングも分からない。で、俺が背中を叩いたら言うんだという感じでやってましたから(笑)。

 いまもそうだけど、ビックリするほど失礼なことを言うじゃないですか。最初のうちはずーっと我慢していたんです。でも、きっかけはアイツが「ネタ書いている人が偉いんですか?」って言ってきた時ですね。「ネタ書いてるやつが偉いんじゃい!」ってブチ切れて、難波のオーキャットの片隅でバッチバチにしばいたんですよ。「すみません、二度と言いません!」って謝ってましたけど、アイツがいまくらいに頭よかったらパワハラで訴えて俺を金に換えてたでしょう(笑)。でもそれくらいから、普通に俺もアイツにものを言えるようになって、関係がまともになりました。

 それからはよくキレてましたよ。「先輩が偉いんですか?」みたいなことをクロちゃんは平気で言うんです。その度にしばいてて、安田ヨットスクールって言われてたこともありますからね(笑)。ネタとかじゃなくて、俺も本気でキレてましたから。

 クロちゃんのキャラクターについては……本人もかなり悩んでいたことがあったんです。当初はHIROのほうが面白くて、クロちゃんはテレビでもなんでも爪あとが残せないってことが続いていたので。で、俺によう相談してきました。2人で夜一緒に歩いて帰りながら。でもね、「団長をこれでもかってほど打ちのめして上に立ちたいんです」とか真顔で言うんですわ。え? 俺の上に立つ? いま、俺が相談に乗ってんやで? みたいな(笑)。ホントに素直なんですよね。思ったことをそのまま言うし、欲望にも素直だし。

 だけど、クロちゃんは自分だけでは輝けない。ひとりでエピソードトークしろって言っても、なんも面白くないですから。だから俺はずっと「ムーン黒川」って呼んでたんです。ようは、誰かが太陽になって照らしてやらないとダメってこと。ドッキリとか周囲の方々の協力があって初めて、輝ける。それに、あいつは返しが何より秀逸ですから。

 リアクションとかワードの返しも、ずいぶん練習したんです。新幹線で移動する時に、頭叩いたら股間を押さえる、腕を叩いたら足を抑える、みたいな練習をずいぶんやった。独特なアイツしかできない返し方は……それは最初から持っていた天性のものですね。

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